Core Concepts
神経細胞とグリア細胞は、グリア細胞由来神経栄養因子(GDNF)の分泌を通じて、血管内皮細胞のクローディン-5とVE-カドヘリンの発現を上昇させ、血液脳関門の機能を強化する。
Abstract
本研究では、ヒト脳内皮細胞(hCMEC/D3)、ヒト星状膠細胞(U251)、ヒト神経芽細胞腫(SH-SY5Y)の三種類の細胞を用いた三次共培養モデルを確立し、その特性を評価した。
三次共培養モデルでは、hCMEC/D3細胞におけるクローディン-5とVE-カドヘリンの発現が著しく上昇し、経内皮電気抵抗の増加と透過性の低下が観察された。この効果は、SH-SY5Y細胞やU251細胞の培養上清にも認められた。
さらに解析の結果、SH-SY5Y細胞やU251細胞がGDNFを高発現しており、GDNF がPI3K/AKTおよびMAPK/ERKシグナル経路を活性化することで、クローディン-5とVE-カドヘリンの発現を上昇させていることが明らかになった。
in vivoでも、脳特異的なGdnf遺伝子ノックダウンマウスでは、クローディン-5とVE-カドヘリンの発現低下に伴い、血液脳関門の透過性が亢進していた。
以上の結果から、神経細胞とグリア細胞は、GDNF分泌を介して血管内皮細胞の機能を調節し、血液脳関門の恒常性維持に寄与することが示された。また、本三次共培養モデルは、薬物の血液脳関門透過性を予測するのに有用であることが明らかになった。
Stats
SH-SY5Y細胞とU251細胞の共培養上清中のGDNF濃度は、hCMEC/D3細胞の培養上清やU251細胞の培養上清に比べて有意に高かった。
GDNF処理によりhCMEC/D3細胞のクローディン-5とVE-カドヘリンの発現が濃度依存的に上昇した。
脳特異的なGdnf遺伝子ノックダウンマウスでは、クローディン-5とVE-カドヘリンの発現が低下し、蛍光物質の脳内移行が亢進していた。
Quotes
"神経細胞とグリア細胞は、GDNF分泌を介して血管内皮細胞の機能を調節し、血液脳関門の恒常性維持に寄与する。"
"本三次共培養モデルは、薬物の血液脳関門透過性を予測するのに有用である。"