Core Concepts
マウスとマーモセットの一次視覚野(V1)における走行関連の応答変調は、共通の基本的なメカニズムを反映しているが、その定量的な特徴は大きく異なる。
Abstract
本研究では、マーモセットの一次視覚野(V1)における走行時の応答変調を調べ、マウスの結果と比較した。
マウスでは、走行時に V1 の活動が大幅に増加するのに対し、マーモセットでは応答変調は小さく、むしろ抑制的な傾向がみられた。
個々のニューロンレベルの解析でも、マウスでは走行時の応答増大が顕著だが、マーモセットでは微小な抑制的変調しか見られなかった。
一方、両種において、V1 ニューロン集団の共有ゲイン変調という共通の特徴が見出された。しかし、この変調との相関は、マウスでは走行と強く正の相関を示すのに対し、マーモセットでは弱く負の相関を示した。
以上より、視覚野における行動状態依存的な応答変調は、霊長類と齧歯類で定量的に大きく異なるが、基本的なメカニズムは共通している可能性が示唆された。
Stats
マウスのV1ニューロンの走行時の応答は、好みの刺激に対して1.523倍(95%CI: 1.469-1.579)、全刺激に対して1.402倍(95%CI: 1.365-1.440)増加した。
マーモセットのV1ニューロンの走行時の応答は、好みの刺激に対して0.899倍(95%CI: 0.851-0.949)、全刺激に対して1.011倍(95%CI: 0.995-1.027)となり、むしろ抑制的な変化を示した。
マウスのV1活動と走行速度の相関係数の中央値は0.407(p=9.04×10-5)と強い正の相関を示したのに対し、マーモセットでは-0.033(p=0.034)と弱い負の相関を示した。
Quotes
"マウスでは、走行時に V1 の活動が大幅に増加するのに対し、マーモセットでは応答変調は小さく、むしろ抑制的な傾向がみられた。"
"一方、両種において、V1 ニューロン集団の共有ゲイン変調という共通の特徴が見出された。しかし、この変調とは、マウスでは走行と強く正の相関を示すのに対し、マーモセットでは弱く負の相関を示した。"