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第3世代の4クォーク演算子の精密測定:SMEFTからLEFTへのマッチング - 電弱精密測定とフレーバー物理への影響


Core Concepts
第三世代のクォークのみを含む4クォーク演算子の標準模型有効場理論(SMEFT)への寄与を、電弱精密測定とフレーバー物理の観測量に焦点を当て、低エネルギー有効場理論(LEFT)への1ループおよび2ループマッチング計算を実行することで調査します。
Abstract

この論文は、標準模型を超える物理、特に第三世代のクォークに影響を与える可能性のある新しい物理を探索するための理論的な枠組みを提示しています。

背景と動機

  • LHCなどの加速器実験では、標準模型(SM)を超える新しい粒子の直接的な証拠は見つかっていない。
  • このため、SMを低エネルギー有効理論(LEFT)として拡張する有効場の理論(EFT)が、新しい物理を探索するための有力なアプローチとなっている。
  • 標準模型有効場理論(SMEFT)は、新しい物理のエネルギー・スケールが電弱スケールよりもはるかに高いと仮定して、SMを拡張する。
  • SMEFTは、新しい物理のモデルに依存しない方法で、高エネルギー過程と低エネルギー過程の両方における新しい物理の効果を分析するための、体系的に改善可能な量子場の理論的枠組みを提供する。
  • 第三世代のクォークのみを含む4つのクォーク場からなる次元6演算子は、トップクォークの対生成などの高エネルギー過程でのみツリーレベルで探索できるため、既存の制限は弱い。
  • この論文では、電弱精密測定とフレーバー物理の観測量に影響を与える第三世代の4クォーク演算子の寄与に焦点を当て、SMEFTとLEFTの間の1ループおよび2ループマッチング計算を実行することで、これらの演算子に対する間接的な制限を調査する。

理論的枠組み

  • この論文では、第三世代のクォーク場のみを含む、LHCトップワーキンググループ(LHCTopWG)によって導入された演算子基底における次元6のSMEFT演算子のサブセットを検討している。
  • これらの演算子は、クォーク場の左巻きSU(2)L二重項と右巻きSU(2)L一重項の両方を含む、ベクトルカレントと軸方向カレントの可能なすべての組み合わせを含む。
  • 計算は、次元正則化とMS繰り込みスキームを用いて行われる。
  • トップクォークの質量は計算全体を通して保持され、他のすべてのフェルミ粒子の質量と湯川結合はゼロに設定される。

計算と結果

  • この論文では、Z→b¯bとt→bWの遷移に対する裸の1ループ行列要素の解析結果を示し、それらの発散構造が関連する異常次元の直接計算と一致することを検証している。
  • また、オブリークパラメータに対する2ループのSMEFT補正の計算も示し、クォーク質量のOS繰り込みスキームとMS繰り込みスキームの違いについて議論している。
  • さらに、ダウンアライメントのシナリオで、ダウンタイプのクォークを含むフレーバー変化中性カレント(FCNC)過程に対する2ループのSMEFT補正を計算する。
  • これらの計算には、b→sZ遷移、b→sℓ+ℓ−ボックス、Bs– ¯Bs混合振幅が含まれる。
  • これらの観測量に対するSMEFT補正の近似的な結果が提示され、完全な解析式は付録に記載されている。

現象論的解析

  • この論文では、Zボソン崩壊幅、トップクォーク崩壊幅、オブリークパラメータ、およびb→cℓν崩壊に対するSMEFT補正の数値的な影響について議論している。
  • これらの観測量は、第三世代の4クォーク演算子のウィルソン係数に対する相補的な制限を提供することがわかった。

結論

  • この論文で得られた解析結果は、第三世代の4クォーク演算子を含むSMEFT演算子の部分集合に主に影響を与える、SMを超える物理に対する制限のモデルに依存しない解析のための重要な要素を提供する。
  • Z極データ、オブリーク補正、精密フレーバー観測量への適合から導き出された、この種のBSMモデルに対する制限の包括的な研究は、今後の論文で発表される予定である。
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Stats
トップクォークの質量:mt = 172.5 GeV ヒッグス粒子の質量:mh = 125 GeV Wボソンの質量: mW = 80.379 GeV Zボソンの質量: mZ = 91.1876 GeV フェルミ結合定数: GF = 1.166379·10−5 GeV−2 電弱混合角の正弦: sw = 0.2230 電磁結合定数: α = 1/132.184 CKM行列要素: |Vtb| = 0.999142 SMにおけるZボソンの全崩壊幅: ΓSMZ = 2.49411 GeV SMにおけるトップクォークの全崩壊幅: ΓSMt = 1.3216 GeV SMにおけるトップクォークの崩壊における縦偏極Wボソンの分岐比: F SML = 0.689 SMにおけるトップクォークの崩壊における負のヘリシティーを持つWボソンの分岐比: F SM− = 0.309 SMにおける電子とZボソンの崩壊幅の比: R SMe = 20.736 SMにおけるミュー粒子とZボソンの崩壊幅の比: R SMµ = 20.736 SMにおけるタウ粒子とZボソンの崩壊幅の比: R SMτ = 20.781 SMにおけるボトムクォークとZボソンの崩壊幅の比: R SMb = 0.21582 SMにおけるチャームクォークとZボソンの崩壊幅の比: R SMc = 0.17221 SMにおけるボトムクォークの前後非対称性: Ab,SMFB = 0.1029 SMにおけるボトムクォークの左右非対称性: A SMb = 0.9347 SMにおける包摂的半レプトン崩壊分岐比: Br (B →Xcℓν)SM ≃10.66%
Quotes
「これまでに行われた最も洗練されたグローバルSMEFT解釈[9]では、50種類の次元6演算子が同時に考慮され、ヒッグス、ダイボソン、トップクォークの生成と崩壊の測定の完全なスレートがLHCから採用されて、ウィルソン係数を制約し、部分的には電弱精密観測量(EWPO)のLEP測定によって提供される情報も組み込まれている。」 「既存の制限の弱さは、この種の相互作用が、t¯tt¯t、t¯tb¯b、またはb¯bb¯bの生成においてのみツリーレベルで調べることができるという事実によるものである。」 「上記の制限を考えると、第三世代の4クォーク接触相互作用の代替プローブを検討する価値があるようだ。」 「実際、間接プローブは文献で議論されており、トップクォーク生成過程[5、18–20]、トップクォーク[21]とZボソン崩壊[22、23]、およびヒッグス物理[25–28]が含まれる。」 「この論文の主な目標は、重い場のみを含む4クォーク演算子のウィルソン係数に対する間接的な制限の力を強化することである。」

Deeper Inquiries

グローバルSMEFT解析における特定のフラットな方向を解決するために、他のどのような観測量を使用できるでしょうか?

上記の論文では、第三世代のクォークのみを含む四フェルミオン演算子のウィルソン係数に対する制限を得るために、様々な観測量(Zボソンの崩壊幅、トップクォークの崩壊、オブリークパラメータ、B中間子の崩壊など)がどのように使えるかについて議論されています。しかし、これらの観測量だけでは、全てのウィルソン係数を独立に決定するには不十分であり、特定の線形結合にしか感度を持たない「フラットな方向」が残ってしまうことが指摘されています。 これらのフラットな方向を解決し、ウィルソン係数をより精密に決定するためには、以下のような追加の観測量が考えられます。 トップクォーク対生成の運動学的分布: トップクォーク対生成過程(pp → t t̄)は、第三世代の四フェルミオン演算子に対して感度を持つため、生成されたトップクォークの運動学的分布(例えば、トップクォーク対の不変質量分布や、トップクォークの横運動量分布など)を精密に測定することで、ウィルソン係数に対するより強い制限を得ることが期待できます。 ダブルトップクォーク対生成過程: pp → t t̄ t t̄ 過程は、四フェルミオン演算子の効果がより顕著に現れると期待され、これらの演算子の結合定数に対して高い感度を持つと考えられます。 ヒッグス粒子とトップクォーク対の結合定数: ヒッグス粒子とトップクォーク対の結合定数は、第三世代のクォークを含むループ効果を通して、四フェルミオン演算子の影響を受けます。この結合定数を精密に測定することで、ウィルソン係数に対する制限を得ることが可能となります。 B中間子の稀崩壊過程: B中間子の稀崩壊過程、例えば B → K(*)νν̄ や B → Xsγ なども、第三世代のクォークを含むループ効果を通して、四フェルミオン演算子の影響を受けます。これらの崩壊過程の分岐比や角度分布を精密に測定することで、ウィルソン係数に対する相補的な情報を得ることが期待できます。 これらの観測量を組み合わせることで、グローバルSMEFT解析におけるフラットな方向を解決し、新しい物理に対するより強い制限を得ることが期待できます。

第三世代の4クォーク演算子のウィルソン係数に対する制限は、新しい物理の特定のモデルにどのように変換されるでしょうか?

第三世代の4クォーク演算子のウィルソン係数に対する制限は、新しい物理の特定のモデル構築に対して、有力な情報を与えます。これらの制限を特定のモデルに翻訳するには、以下の手順を踏みます。 新しい物理のモデルを仮定する: 例えば、新しい重いゲージボソンや、新しいスカラー粒子、ベクトルライククォークなどを含む模型を考えます。 SMEFTのスケールΛよりも高いエネルギースケールにおいて、新しい物理の模型を記述するラグランジアンを構築する。 新しい物理を含む過程を計算し、有効場の理論を用いて、SMEFTの演算子にマッチングさせる。 この際、新しい粒子の質量や結合定数を用いて、ウィルソン係数を計算します。 得られたウィルソン係数を用いて、実験的に測定された観測量を計算し、実験結果と比較する。 もし、新しい物理のモデルが第三世代の4クォーク演算子に大きな寄与を与える場合、ウィルソン係数に対する制限は、新しい粒子の質量や結合定数に対して厳しい制限を与えることになります。逆に、実験結果と矛盾しないためには、新しい物理のモデルは、ウィルソン係数が厳しい制限を満たすように、パラメータ空間が制限されることになります。 例えば、新しい重いゲージボソンが第三世代のクォークに強く結合する模型を考えると、この模型は、オブリークパラメータや、トップクォーク対生成過程、b → sℓ+ℓ- 過程などに大きな影響を与えます。ウィルソン係数に対する制限は、新しいゲージボソンの質量と結合定数に対して厳しい制限を与えることになり、模型構築に重要な指針を与えることになります。

この研究で得られた結果は、将来の加速器実験における新しい物理の探索にどのような影響を与えるでしょうか?

この研究で得られた結果は、将来の加速器実験における新しい物理の探索に対して、以下のような影響を与えると考えられます。 探索戦略の指針: 第三世代の4クォーク演算子のウィルソン係数に対する制限は、新しい物理の模型構築に対して重要な情報を提供するため、将来の加速器実験における探索戦略の指針となります。例えば、特定の模型において、ウィルソン係数が大きな値を持つことが予測される場合、その模型は、将来の加速器実験で検証される可能性が高くなります。 背景事象の理解: 新しい物理の探索においては、標準模型からの寄与を正確に理解することが不可欠です。この研究で得られた結果は、標準模型の高次補正を精度良く計算するために必要不可欠であり、将来の加速器実験における背景事象の理解を深めることに貢献します。 データ解析の精度向上: 将来の加速器実験では、より高統計のデータが蓄積されることが期待されます。この研究で得られた高次補正を含めることで、データ解析の精度を向上させ、新しい物理の探索感度を向上させることが可能となります。 特に、高輝度LHC実験や、将来計画されている国際リニアコライダー(ILC)などの実験において、この研究で得られた結果は、新しい物理の探索に大きく貢献すると期待されます。
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