Core Concepts
ペクチンの脱メチル化状態がRALF1ペプチドの受容に必要不可欠である
Abstract
本研究では、細胞壁成分であるペクチンの脱メチル化状態がRALF1ペプチド伝達シグナルの出力に重要な役割を果たすことを明らかにしている。
まず、ペクチンメチルエステラーゼ(PME)活性を阻害すると、RALF1によるroot成長抑制が抑制されることを示した。PME活性の阻害は、ペクチンの脱メチル化を減少させ、RALF1によるapoplast pH上昇や細胞壁・細胞膜の変化、FER受容体のエンドサイトーシスなどのRALF1シグナル出力を抑制した。
in vitroの実験では、RALF1ペプチドが脱メチル化オリゴガラクツロン酸(OG)と高い親和性で結合することを示した。RALF1ペプチドの正電荷アミノ酸残基が、負電荷を帯びた脱メチル化ペクチンへの結合に重要であることも明らかにした。
一方、RALF1シグナルにはLRX細胞壁センサータンパク質は必要ではないことも示された。
以上より、ペクチンの脱メチル化状態がRALF1ペプチドの受容に必要不可欠な細胞外シグナリングのスキャフォールドとして機能することが提案された。
Stats
ペクチンの脱メチル化状態がRALF1シグナルに必要不可欠であることを示す以下のデータ:
EGCG処理によりRALF1の根成長抑制効果が抑制される
EGCG処理によりペクチンの脱メチル化が減少する
PMEI3/5過剰発現によりRALF1の根成長抑制効果が抑制される
RALF1処理により細胞壁の膨潤や細胞膜の陥入が誘導されるが、EGCG処理やPMEI3過剰発現によりこれらの変化が抑制される
RALF1処理によるapoplast pH上昇がEGCG処理やPMEI3過剰発現により抑制される
RALF1ペプチドと脱メチル化オリゴガラクツロン酸(OG)が高い親和性で結合する
Quotes
"ペクチンの脱メチル化状態がRALF1ペプチドの受容に必要不可欠な細胞外シグナリングのスキャフォールドとして機能する"
"RALF1ペプチドの正電荷アミノ酸残基が、負電荷を帯びた脱メチル化ペクチンへの結合に重要である"