Core Concepts
細菌由来ATPは局所および全身性の炎症反応を抑制し、敗血症の重症化に寄与する。
Abstract
本研究では、敗血症関連細菌が成長に伴って ATP を放出することを示した。ATP 放出は、細菌の内膜に存在するATP合成酵素に依存しており、外膜の完全性の低下と細菌の死滅に関連していることが明らかになった。
腹腔内敗血症モデルを用いた実験では、細菌由来ATPが局所の免疫応答を抑制し、好中球数の減少と生存率の低下を引き起こすことが示された。さらに、細菌由来ATPは外膜小胞(OMV)に取り込まれ、全身に輸送されることで、好中球の脱顆粒を誘導し、敗血症の重症化に寄与することが明らかになった。
このように、細菌由来ATPは局所および全身性の炎症反応を調節することで、敗血症の病態形成に重要な役割を果たしていることが示された。
Stats
細菌由来ATPの放出量は、細菌の成長に依存して増加する。
細菌の外膜の完全性が低下すると、細菌の死滅と ATP 放出が増加する。
腹腔内敗血症モデルでは、細菌由来ATPの除去により、好中球数の増加と生存率の改善が見られた。
OMVに取り込まれた細菌由来ATPは、好中球の脱顆粒を誘導する。
Quotes
細菌由来ATPは局所および全身性の炎症反応を抑制し、敗血症の重症化に寄与する。
細菌の外膜の完全性の低下は、細菌の死滅と ATP 放出の増加につながる。
OMVに取り込まれた細菌由来ATPは、好中球の脱顆粒を誘導する。