Core Concepts
ユーロ圏経済は概ね同期しているものの、金融市場へのエクスポージャーの違いが、ECB金融政策に対する国ごとの非対称な反応につながっている。
Abstract
ユーロ圏における共通景気循環を通じた金融政策伝達の分析:金融市場へのエクスポージャーがもたらす非対称な影響
本稿は、ユーロ圏における共通景気循環を通じた金融政策伝達の仕組について、実証的な分析を行った論文である。
本研究は、ユーロ圏経済における産出量とインフレーションの共通景気循環が、金融政策の伝達にどのような役割を果たしているのかを明らかにすることを目的とする。特に、共通の景気循環を通じた金融政策の伝播と、金融市場を通じた国ごとの伝達の両方について分析する。
本研究では、共通の産出量とインフレーションの循環、各国経済の循環に対するエクスポージャー、そして単一通貨圏における金融政策の関連性を、ベイズ推定を用いたプロキシFAVARモデルによって分析する。具体的には、産出量とインフレーションの共通要素を推定するために、動的因子モデルを用いる。また、金融政策ショックを識別するために、VARモデルに高頻度金融市場データを用いた外部計装変数を導入し、符号制約を課す。