Core Concepts
ダウン症患者の発話の特徴を体系的に評価するためのルーブリックを開発し、その初期的な実験結果を示す。
Abstract
本研究では、ダウン症患者の発話の特徴を体系的に評価するためのルーブリックを開発した。このルーブリックは、発音、流暢性、韻律の3つの側面から構成されている。
発音の評価では、単語レベルの置換、脱落、歪み、付加といった誤りを特定する。流暢性の評価では、ブロック、引き延ばし、繰り返しなどのディスフルエンシーを検出する。韻律の評価では、語彙アクセント、韻律的なグループ化、イントネーションの逸脱を確認する。
この注釈ルーブリックを用いて、ダウン症患者の発話コーパス「Prautocal」の一部を注釈した。発音、流暢性、韻律の各側面について、3段階の評価を行った。
初期実験として、発音の自動評価にGoodness of Pronunciation (GoP)を用いた。GoP値と注釈スコアの相関は中程度であったが、傾向は概ね一致していた。流暢性の自動評価では、ディスフルエンシーの種類によって精度に差があり、特にブロックとひきのばしの検出が比較的良好であった。
今後は、より高度な分類手法の適用や、個別の音素レベルでの分析など、さらなる改善が期待される。このようなコーパスの注釈と自動評価の取り組みは、ダウン症患者の発話支援システムの開発に役立つと考えられる。
Stats
置換エラーは311件(4.5%)
脱落エラーは624件(9.1%)
歪みエラーは1,799件(26.3%)
付加エラーは158件(2.3%)
ブロックは197件(1回)、87件(複数回)
引き延ばしは81件(1回)、50件(複数回)
音の繰り返しは127件(1回)、47件(複数回)
単語の繰り返しは89件(1回)、49件(複数回)
間投詞は40件(1回)、8件(複数回)
アクセントエラーは16件(1回)、2件(複数回)
グループ化エラーは33件(1回)、58件(複数回)
イントネーションエラーは38件(1回)、28件(複数回)