Core Concepts
スパニングツリーマッチング(STM)デコーダは、表面符号の誤り訂正能力を保証しつつ、最小重み完全マッチング(MWPM)デコーダに比べて大幅な高速化を実現する。さらに、より単純化されたRapid-Fireデコーダを提案し、デコーディング速度が重要な場合に有効である。
Abstract
本論文では、表面符号のデコーディングのための新しいアルゴリズムであるスパニングツリーマッチング(STM)デコーダを提案している。STMデコーダは、まず格子内のサブセットのアンシラキュービットに対してMST(最小スパニングツリー)アルゴリズムを適用し、その後、最も故障しやすいエッジを選択することで簡単かつ高速に完全マッチンググラフを構築する。
STMデコーダは、MWPM(最小重み完全マッチング)デコーダと比較して、わずかな性能劣化の代償で大幅なデコーディング時間の短縮を実現する。さらに、デコーディング速度が最も重要な場合に適用できるRapid-Fireデコーダも提案している。
シミュレーション結果から、STMとRapid-Fireデコーダは、MWPMデコーダと比べて10,000倍以上の高速化を達成できることが示された。一方で、重み t+1の誤りパターンの訂正率は若干低下するものの、重み t以下の誤りに対しては符号の設計距離まで訂正可能である。
Stats
表面符号[[9, 1, 3]]、[[13, 1, 3]]、[[41, 1, 5]]、[[85, 1, 7]]のデコーディング時間比較
RFire: 0.0008 - 0.0341 μs
STM: 0.0025 - 1.9302 μs
MWPM: 17.329 - 171.78 μs
Quotes
"STMデコーダは、MWPMデコーダと比較して、わずかな性能劣化の代償で大幅なデコーディング時間の短縮を実現する。"
"RapidFireデコーダは、デコーディング速度が最も重要な場合に適用できる。"
"シミュレーション結果から、STMとRapid-Fireデコーダは、MWPMデコーダと比べて10,000倍以上の高速化を達成できることが示された。"