Core Concepts
本論文では、複数の量子状態の類似性を定量化する新たな手法を提案する。これらの手法は、2つの量子状態の類似性を表すウールマンフィデリティの自然な一般化であり、いくつかの望ましい性質を満たす。
Abstract
本論文では、多変量古典フィデリティの量子一般化について包括的に研究している。
まず、マツシタ多変量フィデリティや平均ペアワイズフィデリティなどの多変量古典フィデリティを定義し、それらの性質を明らかにしている。
次に、これらの古典的な定義を量子系に一般化した新しい多変量量子フィデリティを提案している。主な提案は以下の3つである:
平均ペアワイズz-フィデリティ: z-フィデリティの平均ペアワイズ拡張
多変量SDP(半正定値計画)フィデリティ: ウールマンフィデリティのSDP定式化の多変量拡張
秘匿性に基づく多変量フィデリティ: 既存の秘匿性尺度の一般化
これらの提案された多変量量子フィデリティは、(i) 可換状態の場合に古典的な多変量フィデリティに一致する、(ii) 情報処理不等式を満たす、(iii) 状態の順列に不変である、(iv) 忠実性と直交性を持つ、(v) 直和性質を持つ、(vi) 共concavityを持つ、といった望ましい性質を示している。
さらに、マツシタ多変量フィデリティの量子一般化である多変量対数ユークリッド フィデリティも提案し、その性質を明らかにしている。
最後に、これらの多変量量子フィデリティ間の関係性を解明し、古典的な多変量フィデリティの最小・最大拡張についても考察している。
Stats
多変量古典フィデリティは、可換状態の場合に以下のように表される:
平均ペアワイズフィデリティ: F(ρ1, ..., ρr) = 2/(r(r-1)) Σi<j Σx √ρi(x)ρj(x)
マツシタ多変量フィデリティ: Fr(ρ1, ..., ρr) = Σx (ρ1(x)...ρr(x))1/r
多変量SDP フィデリティは、以下のように表される:
FSDP(ρ1, ..., ρr) = sup{Re[Tr[X]] | [ρi X; X† ρj] ≥ 0 ∀i,j}
秘匿性に基づく多変量フィデリティは、以下のように表される:
FS(ρ1, ..., ρr) = sup{Σi Tr[Yiρi] | [Y1 -I; -I Y2] ≥ 0}
Quotes
"本論文の主要な貢献は、多変量量子フィデリティを導入し、それらが自然な一般化として満たすべき性質を示すことである。"
"提案した多変量量子フィデリティは、可換状態の場合に古典的な多変量フィデリティに一致し、情報処理不等式、順列不変性、忠実性、直交性、直和性質、共concavityなどの望ましい性質を満たす。"
"多変量対数ユークリッドフィデリティは、マツシタ多変量フィデリティの量子一般化であり、多くの望ましい性質を持つ。"