Core Concepts
量子コヒーレンスと古典的な識別可能性の間には本質的なトレードオフ関係が存在する。完全な識別を行うと量子コヒーレンスは失われ、一方で量子コヒーレンスを最大限保持しようとすると識別可能性が低下する。
Abstract
本研究では、相互直交な純粋状態の集合に対して、量子コヒーレンスと識別可能性の間の新しい二重性関係を明らかにした。
具体的には以下の点が示された:
最適な状態識別は、追加の量子コヒーレンスを消費することなく達成できる。つまり、最適な識別確率は、自由操作(例えば非干渉的操作)によっても実現できる。
相互直交な純粋状態の集合に対して、「保持されるコヒーレンス量(co-bits)」と「抽出される古典情報量(c-bits)」の和には上限があることを示した。この二重性関係は、波粒子二重性の一般化と見なすことができる。
特に、完全な正規直交基底を識別する場合には、コヒーレンスを全く保持できないことを明らかにした。一方で、最大コヒーレンス状態の集合を識別する場合には、この上限が達成されることを示した。
これらの結果は、量子コヒーレンスと古典的識別可能性という二つの根本的な資源の間の本質的な関係を明らかにするものである。
Stats
量子コヒーレンスと識別可能性の和は、状態空間の次元を超えることはできない。
完全な正規直交基底を識別する場合、コヒーレンスを全く保持できない。
最大コヒーレンス状態の集合を識別する場合、コヒーレンスと識別可能性の和は状態空間の次元に等しい。
Quotes
「量子コヒーレンスと古典的な識別可能性の間には本質的なトレードオフ関係が存在する。」
「完全な識別を行うと量子コヒーレンスは失われ、一方で量子コヒーレンスを最大限保持しようとすると識別可能性が低下する。」