Core Concepts
本論文では、内積分割を利用した新しい安全な分散行列乗算(SDMM)方式を提案する。我々のアプローチは、代数幾何符号などの仮定を必要とせず、一般化されたリード・ソロモン符号を用いることで、フィールドサイズの柔軟性を向上させる。また、適切な直交デコーディングベクトルを用いることで、全ての干渉項を効率的に除去することができる。さらに、MDS予想がSDMM方式の最小フィールドサイズに与える影響について議論し、我々の構成がその予想に基づく下限にほぼ到達することを示す。
Abstract
本論文では、安全な分散行列乗算(SDMM)のための新しい方式を提案している。SDMMは、行列の積を分散システムの作業ノードに分散して計算し、遅い/応答しないワーカー(ストラグラー)に対する耐性と、共謀するワーカーに対するデータセキュリティを提供するものである。
提案手法の特徴は以下の通り:
内積分割を利用し、行列の積を部分行列の内積和として表現する。
一般化されたリード・ソロモン符号を用いることで、フィールドサイズの制約を緩和する。従来の方式では代数幾何符号などの仮定が必要だった。
適切な直交デコーディングベクトルを用いることで、全ての干渉項を効率的に除去できる。これにより、符号化や復号の複雑性を増加させない。
MDS予想に基づき、SDMMスキームに必要なフィールドサイズの下限について考察し、提案手法がほぼ最適であることを示す。
提案手法には、ストラグラーに対する耐性を持たない最小構成と、ストラグラーに対する耐性を持つ冗長構成の2つのバージョンを示している。両者ともに、従来の方式と比べてフィールドサイズの制約が緩和されている。
Stats
提案手法の最小構成では、ワーカー数N = P + 2X、復号に必要なワーカー数R = P + 2X
提案手法の冗長構成では、ワーカー数N = 2P + 2X + S - 1、復号に必要なワーカー数R = 2P + 2X - 1 または P + 2X