Core Concepts
本論文は、任意の正の辺コストを持つ無容量最小コストフロー問題(輸送問題)に対する簡単な決定論的な準線形時間近似スキームを提案する。
Abstract
本論文は、無容量最小コストフロー問題(輸送問題)に対する簡単な決定論的な準線形時間近似スキームを提案している。
入力として、連結な無向グラフG = (V, E)、頂点需要b ∈RV (需要の総和は0)、正の辺コストc ∈RE
0、および近似精度パラメータε > 0が与えられる。
提案手法は、O(ε−2m logO(1) n)時間で、需要を満たす流量fを見つける。その流量fのコストは最適解のコストの(1 + ε)倍以内に収まる。
この手法は、辺コストや需要に依存しない実行時間を持ち、完全に決定論的である。これは、これまでの輸送問題の準線形時間近似スキームが乱択を用いていたのに対し、大きな特徴である。
手法の核心は、ランダムな木埋め込みを模倣する線形コスト近似器Pを構築することである。Pは、各層グラフ内での需要の期待的な再配分コストを近似する。層グラフの構造と、Thorup-Zwickの距離オラクルを利用することで、Pを効率的に構築・適用できる。
分析の結果、Pは対数の3乗のオーダーで最適解を近似することが示される。これにより、提案手法は(1 + ε)近似解を得ることができる。