Core Concepts
限定メモリ勾配法(LMSD)は、過去の勾配を保持して一度に複数のステップサイズを計算することで、無制約最適化問題を効率的に解くことができる。
Abstract
本論文では、LMSD法について以下のような新しい理論的および計算的な側面を検討している:
厳密凸二次関数の場合、投影ヘッシアン行列を計算する新しい方法を提案する。特に、ピボット付きQR分解やSVDを用いる方法を検討し、それらの性能を比較する。また、LMSD法に関連する最小二乗の secant 条件の存在を示す。
一般の非線形関数の場合、Fletcherの対称化手法に理論的な根拠を与える。さらに、secant 条件に対称性制約を課すことで、実固有値を持つ新しい代替手法を提案する。また、Schnabelの摂動手法をLMSD法に適用する新しい方法も示す。
調和Ritz値の計算に関して、厳密凸二次関数の場合の対称性を利用して、その品質を改善する新しい手法を提案する。
数値実験では、提案手法の性能を厳密凸二次関数と一般の無制約最適化問題の両方で検討する。
Stats
厳密凸二次関数の最小化問題では、投影ヘッシアン行列の計算にピボット付きQR分解やSVDを用いると、Cholesky分解を用いる場合よりも数値的に安定である。
一般の非線形関数の場合、Fletcherの対称化手法や提案する対称secant条件に基づく手法は、実固有値を生成し、LMSD法の収束性を改善する。
Quotes
"限定メモリ勾配法(LMSD)は、過去の勾配を保持して一度に複数のステップサイズを計算することで、無制約最適化問題を効率的に解くことができる。"
"LMSD法は、L-BFGSと比較して、一部の問題で優れた性能を示す。また、非凸関数に対する大域的収束性の結果が得られていない準ニュートン法とは対照的に、LMSD法は連続微分可能関数に対して大域的に収束する。"