Core Concepts
DDX3Xのセリン584のオ-GlcNAc化が、ユビキチン-プロテアソーム系による分解から DDX3Xを保護し、細胞周期の進行を制御する。
Abstract
本研究では、知的障害関連タンパク質DDX3Xのオ-GlcNAc化が細胞周期の制御に重要な役割を果たすことを明らかにした。
まず、ヒト前頭前野の遺伝子発現データ解析から、細胞周期関連遺伝子群がOGTおよびOGAの発現と強く相関することが示された。特に、DDX3Xの発現がOGTおよびOGAと高い相関を示した。
次に、細胞実験により、DDX3Xのセリン584のオ-GlcNAc化が、ユビキチン-プロテアソーム系による分解から DDX3Xを保護し、その安定性を高めることが明らかになった。セリン584のアラニン置換変異体では、DDX3Xの分解が促進され、細胞周期のG1/S移行が阻害された。
さらに、OGT-CDGマウスモデルでは、DDX3Xおよびその標的遺伝子であるサイクリンE1の発現が低下していた。
以上の結果から、DDX3Xのセリン584のオ-GlcNAc化が細胞周期の進行を制御する重要な機構であり、OGT-CDGの病態に関与する可能性が示された。
Stats
OGTおよびOGAの発現と相関する細胞周期関連遺伝子は268個(OGT)および290個(OGA)存在する。
OGT-CDGマウスモデルの脳では、DDX3Xタンパク質が野生型の50%に減少している。
OGT-CDGマウスモデルの脳では、DDX3Xの標的遺伝子であるサイクリンE1タンパク質が野生型の66%に減少している。
Quotes
"DDX3Xのセリン584のオ-GlcNAc化が、ユビキチン-プロテアソーム系による分解から DDX3Xを保護し、その安定性を高める"
"セリン584のアラニン置換変異体では、DDX3Xの分解が促進され、細胞周期のG1/S移行が阻害された"
"OGT-CDGマウスモデルでは、DDX3XおよびサイクリンE1の発現が低下している"