Core Concepts
単一のHTHレギュレーターが、ファージゲノムコピー数の増加と蓄積するacrmRNAに対応するため、転写レベルでのDNA結合による抑制と、保存されたRNAステムループへの結合によるトランスレーション阻害の2つの調節モードを使い分けている。
Abstract
本研究では、バクテリオファージのCRISPR抑制機構を制御するHTHドメインタンパク質Aca2の機能について明らかにしている。Aca2は、DNA結合によりacr遺伝子の転写を抑制するだけでなく、保存されたRNAステムループに結合してリボソームアクセスを阻害することで、mRNAの翻訳も抑制する。クライオ電子顕微鏡構造解析により、同一のHTHドメインがDNAとRNAの両方を識別して結合することが示された。この2つの調節モードにより、ファージDNA複製の進行に伴うacr発現の増大を抑えつつ、CRISPR-Cas系の阻害を維持できると考えられる。HTHドメインタンパク質は広く存在することから、DNA結合とRNA結合の両機能を持つレギュレーターが多数存在すると予想される。
Stats
ファージゲノムコピー数の増加に伴うacr mRNAの蓄積を抑制する。
Aca2は約40 kDaの分子量を持つ。
Quotes
"単一のHTHレギュレーターが、ファージゲノムコピー数の増加と蓄積するacrmRNAに対応するため、転写レベルでのDNA結合による抑制と、保存されたRNAステムループへの結合によるトランスレーション阻害の2つの調節モードを使い分けている。"
"クライオ電子顕微鏡構造解析により、同一のHTHドメインがDNAとRNAの両方を識別して結合することが示された。"