Core Concepts
前立腺がんにおけるアンドロゲン受容体シグナル阻害薬耐性の発達過程は、治療のタイミングによって異なる。最小残存病変の状態では、既存の耐性クローンの増殖が主な耐性機序であるが、確立した腫瘍では、感受性クローンの適応的な変化が主な耐性機序となる。しかし、両者の耐性メカニズムは共通している。
Abstract
本研究では、前立腺がんにおけるアンドロゲン受容体シグナル阻害薬(ARSI)耐性の発達過程を、治療のタイミングの違いに着目して解析した。
最小残存病変の状態を模した実験では、既存の耐性クローンの増殖が主な耐性機序であった。一方、確立した腫瘍を対象とした実験では、感受性クローンの適応的な変化が主な耐性機序となった。
両者の耐性メカニズムは共通しており、グルココルチコイド受容体(GR)の発現上昇やHER3シグナル活性化が重要な役割を果たしていた。
また、確立した腫瘍における適応的耐性の発達には、複数のクローン間の協調が必要であることが明らかになった。
つまり、前立腺がんのARSI耐性の発達過程は治療のタイミングによって異なるが、その根底にある分子メカニズムは共通しており、クローン間の相互作用が重要な役割を果たしている。
Stats
既存の耐性クローンは最小残存病変の状態では10-20倍に増加したが、確立した腫瘍では逆に減少した。
確立した腫瘍における耐性クローンの90%以上は、感受性クローンの適応的変化によるものであった。
確立した腫瘍における適応的耐性の発達には、特定の感受性クローンと耐性クローンの協調が必要であった。
Quotes
"ARSI resistance in the pre-engraftment setting is caused by outgrowth of pre-existing resistant subclones."
"Rather, we found a common set of barcodes enriched in both control and ARSIR tumors, indicating that clones in control tumors adapted to ARSI treatment and were sustained or further enriched."
"Remarkably, the ability of pre-Intact cells to undergo adaptive ARSI resistance was now restored but only when paired with the pre-ARSIR clone (with or without clone A)."