臨床分離 Mycobacterium tuberculosis 株におけるリファンピシン耐性と増殖適応度に関する縦断的研究

Core Concepts

臨床分離 Mycobacterium tuberculosis 株におけるリファンピシン耐性は広範囲に分布しており、イソニアジド耐性株は高いリファンピシン耐性を示す速増殖サブポピュレーションを有している。

Abstract

本研究は、臨床分離 Mycobacterium tuberculosis 株のリファンピシン耐性を包括的に調査し、その特徴を明らかにしたものである。
主な知見は以下の通り:

臨床分離株全体でリファンピシンに対する耐性が広範囲に分布しており、遺伝的にリファンピシン感受性の株でも、リファンピシン耐性株と同程度の高い耐性を示すものがある。

イソニアジド耐性株は、リファンピシン処理後15日目の回復期に、高いリファンピシン耐性を示す速増殖サブポピュレーションを有している。一方、イソニアジド感受性株ではこのような傾向は見られない。

リファンピシン耐性と増殖速度の関係は、イソニアジド感受性株では弱いが、イソニアジド耐性株では顕著である。すなわち、イソニアジド耐性株の中には、リファンピシン耐性が高く、かつ増殖速度も速い株が存在する。

イソニアジド耐性株のうち、リファンピシン治療期間中に分離された株に、特に高いリファンピシン耐性と増殖適応度が認められた。これは、リファンピシン治療が、高リファンピシン耐性を示す遺伝的微変異体の選択に寄与していることを示唆している。

以上の結果から、イソニアジド耐性 M. tuberculosis 株の中には、リファンピシン耐性が高く、かつ増殖適応度も高い株が存在することが明らかになった。これらの株は、多剤耐性結核の発生リスクが高いと考えられる。

Stats

リファンピシン処理5日後の生存率が90%減少するのに要する時間(MDK90)は、イソニアジド感受性株で15日目が1.23日、60日目が2.55日、イソニアジド耐性株で15日目が1.31日、60日目が1.98日であった。

Quotes

「イソニアジド耐性株の中には、リファンピシン耐性が高く、かつ増殖適応度も高い株が存在する」
「これらの株は、多剤耐性結核の発生リスクが高いと考えられる」

Key Insights Distilled From

Rifampicin tolerance and growth fitness among isoniazid-resistant clinical Mycobacterium tuberculosis isolates: an in-vitro longitudinal study

by Srinivasan,V... at www.biorxiv.org 11-22-2023

https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2023.11.22.568240v2

Deeper Inquiries

リファンピシン耐性と増殖適応度の関係は、他の抗結核薬に対する耐性とも関連するか?

この研究から得られた結果によれば、イソニアジド耐性株はリファンピシンに対する耐性が高い傾向があることが示されています。また、リファンピシン耐性の高い株は、他の抗結核薬に対する耐性も持つ可能性があることが示唆されています。したがって、リファンピシン耐性と他の抗結核薬に対する耐性は関連しており、耐性の獲得メカニズムや治療戦略において緊密な関係があると考えられます。

イソニアジド耐性株におけるリファンピシン耐性の獲得メカニズムはどのようなものか?

イソニアジド耐性株におけるリファンピシン耐性の獲得メカニズムは、リファンピシンに対する耐性を引き起こす遺伝子変異や微小変異に関連しています。研究結果から、イソニアジド耐性株はリファンピシンに対する高い耐性を持つ傾向があり、リファンピシン治療によって耐性株が選択される可能性があることが示されています。また、同じ患者から長期間にわたって収集された株では、リファンピシン耐性の変化と関連する非同義単塩基多型（SNP）が観察されており、これらの遺伝子変異がリファンピシン耐性の獲得に影響を与える可能性があります。

臨床的に、リファンピシン耐性の高い株の出現を抑制するための治療戦略はあるか?

リファンピシン耐性の高い株の出現を抑制するための治療戦略としては、リファンピシンに対する耐性のメカニズムや獲得過程を理解し、それに対応した適切な治療法を選択することが重要です。また、リファンピシン治療中に耐性株が選択される可能性があるため、治療計画の適切な管理や追跡が必要です。さらに、リファンピシン耐性株の出現を抑制するためには、耐性株の早期検出や適切な治療法の選択が重要です。継続的なモニタリングや遺伝子解析を通じて、リファンピシン耐性株の出現を予防し、適切な治療戦略を確立することが必要です。