Core Concepts
リチウムイオン電池の高速充電時における環境温度と電池モデルパラメータの不確定性が、電圧、温度、リチウムプレーティングの制約条件に及ぼす影響を明らかにした。これらの不確定性を考慮することで、制約条件を満たしつつ高速充電を実現する充電プロトコルを設計することができる。
Abstract
本研究では、リチウムイオン電池の高速充電時における確率的不確定性の影響を分析した。
リチウムイオン電池の物理化学モデルであるポーラス電極理論(PET)モデルを用いた。PETモデルは内部現象を詳細に記述できるが、モデルパラメータや環境温度の不確定性を考慮する必要がある。
非侵入型ポリノミアルカオス展開(PCE)を用いて不確定性の影響を定量化した。
定電流-定電圧(CC-CV)充電プロトコルを対象に解析を行った。
環境温度とPETモデルパラメータの23個の不確定パラメータのうち、電圧、温度、リチウムプレーティングの各劣化条件に対して11個の感度の高いパラメータを特定した。
不確定性を考慮すると、公称モデルでは観察されなかった電圧制約や温度制約の違反が生じることが明らかになった。
劣化条件を満たす確率が所定の値以下となるよう、C-rateや充電制約を調整することで、不確定性を考慮した高速充電プロトコルを設計できることを示した。
Stats
環境温度Tambの標準偏差は1.0 Kである。
正極粒子半径Rp^pの標準偏差は0.3896 μmである。
負極粒子半径Rp^nの標準偏差は0.1354 μmである。
2.2C CC-CV充電では、電圧制約(4.1 V)が約550秒で、温度制約(313.15 K)が約530-930秒で違反される可能性がある。
2.0C CC-CV充電では、電圧制約と温度制約は違反されない。
Quotes
"不確定性を考慮することで、制約条件を満たしつつ高速充電を実現する充電プロトコルを設計することができる。"
"環境温度とPETモデルパラメータの23個の不確定パラメータのうち、電圧、温度、リチウムプレーティングの各劣化条件に対して11個の感度の高いパラメータを特定した。"