Core Concepts
適応光学を組み込んだ新しい上向き型3D構造化照明顕微鏡システムにより、130 µmの深さまで高品質な3D超解像イメージングが可能になった。
Abstract
本研究では、適応光学を組み込んだ新しい上向き型3D構造化照明顕微鏡システム「Deep3DSIM」を開発した。このシステムにより、これまで困難だった厚い組織や複雑な生物試料の深部(最大130 µm)まで高品質な3D超解像イメージングが可能になった。
Deep3DSIMの主な特徴は以下の通り:
上向き型の光学系を採用し、試料操作(マイクロインジェクション、電気生理学測定など)が可能
適応光学を用いて球面収差や試料由来の収差を補正
リモートフォーカシング機能により、試料や対物レンズを動かすことなく迅速に焦点深度を変更可能
マルチチャンネル、高速3D時系列撮影が可能
これらの機能により、これまで困難だった厚い生物試料の深部イメージングが可能になった。具体的には、ショウジョウバエ幼虫の神経筋接合部や脳、ショウジョウバエ胚の細胞分裂過程などを高解像度で撮影することに成功した。
本システムの設計は汎用性が高く、上向き型だけでなく倒立型の3D-SIMシステムにも適用可能である。適応光学とリモートフォーカシングの組み合わせにより、深部イメージングの精度と撮影速度が大幅に向上した。この技術は、生物学分野の様々な応用に役立つと期待される。
Stats
100 nmビーズを用いた測定では、AO-SIMモードで176 nmの空間分解能が得られた。
COS-7細胞のマイクロチューブ染色では、ワイドフィールドモードで330 nmの分解能に対し、SIMモードでは187 nmの分解能が得られた。
ショウジョウバエ幼虫脳の130 µm深部では、AOなしでは著しい収差によりサンプル構造が歪んでいたが、AOを用いることで200 nmの分解能が維持された。
Quotes
"AO補正により、130 µmの深さでも200 nmの分解能を維持できた。一方、AOなしでは同じ深さでは試料構造が大きく歪んでしまった。"
"リモートフォーカシングと組み合わせたマルチポジションAO補正により、深部でも高コントラストで高解像度の3D-SIMイメージングが可能になった。"