Core Concepts
デルテックスはウィングレス経路の調節において重要な役割を果たし、ウィングレスの拡散勾配の形成と、ウィングレス経路の主要な転写調節因子アーマジロの分解を通じて、ウィングレス経路を制御する。
Abstract
本研究では、デルテックスがウィングレス経路の調節に重要な役割を果たすことを示した。
まず、デルテックスはウィングレス経路の遺伝子と遺伝学的に相互作用することが明らかになった。デルテックスの欠失は、ウィングレスの拡散勾配を狭めるが、デルテックスの過剰発現はウィングレスの拡散を促進し、その勾配を広げる。これはデルテックスがウィングレスの内在化を促進することで、ウィングレスの短距離および長距離標的遺伝子の発現に影響を及ぼすためである。
さらに、デルテックスはウィングレスの主要な転写調節因子アーマジロの発現を抑制することが示された。デルテックスはアーマジロと物理的に相互作用し、プロテアソーム依存的な分解を促進することで、アーマジロの安定性を低下させる。
ヒトにおいても、デルテックスの相同体DTX1がβ-カテニンと結合し、その分解を促進することが明らかになった。
以上の結果から、デルテックスはウィングレスの拡散勾配の形成と、ウィングレス経路の主要な転写調節因子の分解を通じて、ウィングレス経路の調節に重要な役割を果たすことが示された。
Stats
ウィングレスの拡散勾配は、デルテックスの欠失により狭くなり、過剰発現により広がる。
デルテックスの過剰発現により、アーマジロの発現が減少する。
プロテアソーム阻害剤MG132の処理により、デルテックス過剰発現下でのアーマジロの減少が回復する。
ヒトDTX1はβ-カテニンと結合し、その分解を促進する。
Quotes
デルテックスはウィングレスの拡散勾配の形成を促進する。
デルテックスはアーマジロの分解を促進する。
ヒトDTX1はβ-カテニンの分解を促進する。