Core Concepts
無限次元システムの入力と出力を量子化し、センサからコントローラへのチャネルでパケットロスが発生する場合の安定化手法を提案する。
Abstract
本論文では、無限次元線形システムの安定化問題を扱う。特に、入力と出力の量子化、およびセンサからコントローラへのチャネルでのパケットロスが存在する場合を考える。
まず、離散時間の無限次元システムに対する量子化スキームを提案する。センサからコントローラへのパケット送信が失敗した場合、システムは一時的にオープンループとなる。そのため、量子化器は、パケットロスの有無に応じて異なる更新方法を使用する。適切な条件の下で、閉ループシステムの状態が指数関数的に0に収束することを示す。
次に、オペレータノルムの近似計算手法を開発する。無限次元システムの場合、行列ではなくオペレータを扱う必要があるため、オペレータノルムの計算が課題となる。ここでは、対角化可能なシステムに着目し、有限次元近似によってオペレータノルムを効率的に計算する方法を提案する。
最後に、サンプル値制御系の挙動を分析し、量子化とパケットロスが存在する場合でも、サンプリング時刻間の状態が指数関数的に0に収束することを示す。
Stats
量子化誤差の上界∆inと∆outが適切な条件を満たせば、閉ループシステムの状態が指数関数的に0に収束する。
対角化可能なシステムの場合、有限次元近似によってオペレータノルムを効率的に計算できる。
サンプリング時刻間の状態も指数関数的に0に収束する。
Quotes
"無限次元システムの場合、状態推定量を有限データレートチャネルで送信するのは現実的ではない。さらに、センサの計算能力が限られていると、次の更新時刻までに状態推定量の計算を完了できない可能性がある。"
"有限次元入力空間と出力空間を持つ場合、安定化可能性と検出可能性は、有限次元安定化制御器の存在と同値である。したがって、有限次元制御器を設計するための追加条件は必要ない。"