Abstract
本論文では、量子拡張の異なるSp概念の等価性を示している。
量子拡張は、よく研究されているグラフ拡張の量子版の概念である。グラフ拡張には多くの等価な定義があり、幾何学、群論、組合せ論、理論計算機科学などの分野で重要な役割を果たしている。
最近、Li、Qiao、Wigderson、Wigderson、Zhangらは、Sp規範に基づく量子拡張の概念を導入し、それらが等価であるかどうかを問題提起した。本論文では、これらの概念が等価であることを示している。
具体的には、bistochastic d-tupleに対して定義されるhSp(B)という量子拡張の概念について、p≥qの場合、hSp(B) ≤ d^((p-q)/2)hSq(B)および hSp(B) ≥ [hSq(B)]^(p/q)が成り立つことを証明している。これにより、任意のp、qに対してhSpとhSqが等価であることが示された。
この結果は、グラフ拡張のℓp規範に基づく概念の等価性を示したMatoušekの結果の量子版と見なすことができる。ただし、本結果は量子設定での応用には直接つながらないと考えられる。
最後に、Sp空間への埋め込みに必要な歪みの最小値を求める問題を提起し、その解決に向けた方向性について議論している。
Stats
Bi|V⊥,V の特異値の上限は√d以下である。
hSp(B) ≤ d^((p-q)/2)hSq(B)
hSp(B) ≥ [hSq(B)]^(p/q)