Core Concepts
金属を含まない多孔性の等方性有機フレームワークを設計・合成する新しい手法の開発
Abstract
本研究では、金属を含まない多孔性の等方性有機フレームワークを設計・合成する新しい手法を開発した。従来の金属有機フレームワーク(MOF)では、金属ノードと有機リンカーの配向性共有結合によって骨格構造が定義されていた。しかし、この手法は有機塩などの他の結晶性固体には適用できない。
本研究では、化学的知見とコンピューターによる結晶構造予測を組み合わせることで、有機アンモニウムハロゲン化物塩からなる多孔性フレームワークを設計・合成した。これらのフレームワークでは、イオン性クラスターがノードとして機能し、特定の結晶構造を誘導する。結晶構造予測により、チャンネルサイズ、官能基、幾何学構造などを事前に制御できる。
合成された一部の多孔性塩は、MOFを上回る量のヨウ素を吸着できることが示された。これは放射性ヨウ素の捕捉などへの応用が期待される。また、単純な酸塩基中和反応による合成プロセスは大規模化が容易であり、金属を含まない多孔性有機フレームワークの創出に有効な手法といえる。
Stats
金属を含まない多孔性有機フレームワークは、従来のMOFを上回るヨウ素吸着能を示す。
多孔性塩の合成は単純な酸塩基中和反応で行え、大規模化が容易である。
Quotes
"化学的知見とコンピューターによる結晶構造予測を組み合わせることで、金属を含まない多孔性有機フレームワークを設計・合成できる"
"合成された一部の多孔性塩は、MOFを上回る量のヨウ素を吸着できる"