Core Concepts
神経活動の誘発によりデンドライト幹内でアクチン重合が起こり、AMPA受容体小胞の能動輸送と拡散が抑制されることで、神経活動部位近傍にAMPA受容体小胞が集積される。
Abstract
本研究では、内在性AMPA受容体GluA1サブユニットにHaloTagを挿入し、GluA1小胞の動態を単一粒子追跡法により解析した。
化学的長期増強(cLTP)や局所的な構造的長期増強(sLTP)の誘発により、GluA1小胞の能動輸送が減少し拡散が増加した。この変化は、デンドライト幹内でのアクチン重合の誘発によるものであった。アクチン重合は、GluA1小胞の輸送を阻害し、神経活動部位近傍への小胞の集積を促進した。
さらに、アクチン重合はミオシンを介したGluA1小胞の外分泌部位への輸送を促進することで、神経活動部位でのAMPA受容体の挿入を支援していると考えられる。
以上より、神経細胞はアクチン重合を利用して、神経活動部位近傍にAMPA受容体小胞の貯蔵を増加させ、外分泌を促進することで、シナプス可塑性を調節していることが示された。
Stats
化学的長期増強(cLTP)により、デンドライト幹内のGluA1小胞の能動輸送が減少し、拡散が増加した。
構造的長期増強(sLTP)により、神経活動部位近傍のデンドライト幹でアクチン重合が誘発され、その領域内のGluA1小胞の能動輸送が減少し、拡散が抑制された。
Quotes
神経活動の誘発によりデンドライト幹内でアクチン重合が起こり、AMPA受容体小胞の能動輸送と拡散が抑制される。
アクチン重合はGluA1小胞の外分泌部位への輸送を促進することで、神経活動部位でのAMPA受容体の挿入を支援する。