Core Concepts
circRNA HMGCS1は、miR-4521をスポンジングすることで、アルギナーゼ1の発現を上昇させ、血管内皮機能障害を悪化させる。
Abstract
本研究は、糖尿病に関連した血管内皮機能障害の発症メカニズムにおけるcircRNA HMGCS1の役割を明らかにしている。
主な知見は以下の通り:
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糖尿病条件下の血管内皮細胞では、circRNA HMGCS1の発現が顕著に上昇している。circRNA HMGCS1の過剰発現は、血管内皮機能障害を促進する。
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circRNA HMGCS1はmiR-4521をスポンジングし、miR-4521の発現を抑制する。miR-4521は血管内皮機能を保護する一方で、circRNA HMGCS1はその機能を阻害する。
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circRNA HMGCS1はmiR-4521を介してアルギナーゼ1(ARG1)の発現を上昇させる。ARG1の増加は、一酸化窒素(NO)産生の低下、酸化ストレスの亢進、接着分子の発現上昇などを引き起こし、血管内皮機能障害を悪化させる。
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in vivoの実験では、miR-4521の過剰発現が糖尿病による血管内皮機能障害を改善するが、circRNA HMGCS1の過剰発現はその効果を打ち消す。一方、ARG1のノックダウンは、circRNA HMGCS1やmiR-4521の影響を受けずに血管内皮機能を保護する。
以上より、circRNA HMGCS1-miR-4521-ARG1のアクシスが糖尿病性血管内皮機能障害の発症に重要な役割を果たしていることが示された。この経路の調節は、糖尿病性心血管疾患の予防・治療に有望な戦略となる可能性がある。
Stats
糖尿病マウスの血管内皮細胞におけるcircRNA HMGCS1の発現は、正常マウスと比べて有意に上昇していた。
PAHG処理によりHUVECsのNO産生とeNOS活性が低下したが、circRNA HMGCS1の過剰発現によりさらに低下した。
PAHG処理によりHUVECsのROS産生が増加したが、circRNA HMGCS1の過剰発現によりさらに増加した。
PAHG処理によりHUVECsの接着分子(ICAM1、VCAM1、ET-1)の発現が上昇したが、circRNA HMGCS1の過剰発現によりさらに上昇した。
Quotes
"circHMGCS1 upregulated arginase 1 (ARG1) by sponging miR-4521, leading to decrease in vascular nitric oxide secretion and inhibition of endothelial nitric oxide synthase activity, and an increase in the expression of adhesion molecules and generation of cellular reactive oxygen species, reduced vasodilation and accelerated the impairment of vascular endothelial function."
"Collectively, these findings illuminate the physiological role and interacting mechanisms of circHMGCS1 and miR-4521 in diabetes-induced cardiovascular diseases, suggesting that modulating the expression of circHMGCS1 and miR-4521 could serve as a potential strategy to prevent diabetes-associated cardiovascular diseases."