Core Concepts
APACHE は、メモリ階層と機能ユニットの柔軟な設計により、マルチスキーム完全準同型暗号化の高速化を実現する。
Abstract
本論文は、マルチスキーム完全準同型暗号化(FHE)の高速化に向けた処理近接メモリアーキテクチャ「APACHE」を提案している。
主な内容は以下の通り:
マルチスキーム FHE では、BFV/CKKS系とTFHE系の演算子が混在し、データ集中型と計算集中型の演算子が混在するため、従来の FHE アクセラレータでは低い利用率に陥る問題がある。
APACHE は、3階層のメモリアーキテクチャと柔軟な機能ユニット(FU)の設計により、この問題を解決する。
メモリ階層では、外部I/Oレベル、近メモリ計算レベル、メモリ内計算レベルの3層を設け、データ集中型演算子を近メモリ/メモリ内に配置することで、I/Oバンド幅を大幅に削減する。
FUでは、(I)NTT、乗算、加算、置換などの基本演算を柔軟に構成可能とし、演算子の特性に応じて最適な構成を選択できるようにする。
演算子スケジューリングでは、タスクレベルとオペレータレベルの2段階で最適化を行い、データ再利用とパイプライン化を実現する。
提案手法をさまざまなベンチマークで評価した結果、従来手法に比べて2.4倍から19.8倍の高速化を達成した。
Stats
TFHE-like演算子のI/Oバンド幅は350 GB/sに達する
BFV/CKKS-like演算子のI/Oバンド幅は最大8670 GB/sに達する
従来のFHEアクセラレータでは、NTTユニットの利用率が50%から85%に留まる
提案手法のNTTユニットの利用率は90%以上を維持できる
Quotes
"マルチスキームFHEプロトコルの効果的な高速化には、データ集中型と計算集中型の演算子を統一的に扱うアーキテクチャの検討が必要である。"
"提案手法APACHE は、メモリ階層とFU設計の柔軟性により、I/Oバンド幅の大幅な削減と高い演算リソース利用率を両立できる。"