Core Concepts
マクロファージ内のSlc30a1は、サルモネラ感染に対する防御機構において重要な役割を果たす。Slc30a1欠損マクロファージでは、細胞内亜鉛蓄積により殺菌活性が低下し、サルモネラ感染に対する感受性が高まる。
Abstract
本研究では、マクロファージ内の亜鉛トランスポーターSlc30a1の機能を解明し、サルモネラ感染に対する防御機構における役割を明らかにした。
まず、サルモネラ感染によりマクロファージでSlc30a1の発現が誘導されることを示した。次に、マクロファージ特異的なSlc30a1欠損マウスを用いた実験から、Slc30a1欠損マクロファージではサルモネラ感染に対する抵抗性が低下することを明らかにした。機序として、Slc30a1欠損マクロファージでは細胞内亜鉛濃度の上昇により、iNOSおよびNO産生が低下し、殺菌活性が低下することが示された。
さらに、Slc30a1欠損マクロファージではメタロチオネイン1(Mt1)の発現が亢進しており、これがSlc30a1欠損による細胞内亜鉛蓄積に対する代償機構として機能していることが示唆された。興味深いことに、Slc30a1とMt1の両方を欠損したマクロファージでは、過剰な細胞内亜鉛蓄積により酸化ストレスが増大し、細胞死が亢進することが明らかになった。
以上の結果から、マクロファージ内のSlc30a1は、サルモネラ感染に対する防御機構において重要な役割を果たすことが示された。Slc30a1を標的とした新たな治療戦略の開発が期待される。
Stats
Slc30a1欠損マクロファージではサルモネラ感染に対する感受性が高い
Slc30a1欠損マクロファージでは細胞内亜鉛濃度が上昇し、iNOSおよびNO産生が低下する
Slc30a1とMt1の両方を欠損したマクロファージでは、過剰な細胞内亜鉛蓄積により酸化ストレスが増大し、細胞死が亢進する
Quotes
「マクロファージ内のSlc30a1は、サルモネラ感染に対する防御機構において重要な役割を果たす」
「Slc30a1欠損マクロファージでは細胞内亜鉛濃度の上昇により、iNOSおよびNO産生が低下し、殺菌活性が低下する」
「Slc30a1とMt1の両方を欠損したマクロファージでは、過剰な細胞内亜鉛蓄積により酸化ストレスが増大し、細胞死が亢進する」