Core Concepts
腸管のILC3細胞がCTLA-4を発現することで、IL-23によって引き起こされる慢性炎症を抑制する。
Abstract
本研究では、腸管におけるIL-23シグナリングの制御機構を明らかにすることを目的としている。
まず、単一細胞RNA-sequencingを用いて、腸管のIL-23受容体発現細胞の同定を行った。その結果、T細胞とILC3が主要な標的細胞であることが明らかになった。興味深いことに、ILC3細胞においてCTLA-4と呼ばれる免疫抑制分子の発現が強く誘導されることが見出された。
CTLA-4発現はIL-23およびマイクロバイオタの刺激によって誘導され、FOXO1とSTAT3依存的なメカニズムで制御されていた。CTLA-4欠損マウスでは、制御性T細胞の減少と炎症性T細胞の増加、さらに腸管炎症の悪化が観察された。
また、IL-23はCTLA-4陽性ILC3を誘導し、それによってミエロイド細胞上のco-stimulatory分子の発現を抑制し、PD-L1の生物学的利用能を高めることが示された。
さらに、ヒトILC3においてもIL-23やgut inflammationによってCTLA-4の発現が誘導され、炎症性腸疾患の寛解期に相関することが明らかになった。
以上の結果から、ILC3細胞のCTLA-4発現が、IL-23の有害作用を抑制する重要な制御機構であることが示された。炎症性腸疾患においてこの制御機構が破綻することが、慢性炎症の一因となっていると考えられる。
Stats
腸管のIL-23受容体発現細胞の主要な集団はT細胞とILC3であった。
CTLA-4欠損マウスでは、制御性T細胞の減少と炎症性T細胞の増加、さらに腸管炎症の悪化が観察された。
ヒトILC3においてもIL-23やgut inflammationによってCTLA-4の発現が誘導され、炎症性腸疾患の寛解期に相関していた。
Quotes
「IL-23は腸管の恒常性や急性感染時に組織保護的に作用するが、慢性炎症性疾患の主要な媒介因子でもある」
「ILC3細胞がCTLA-4を発現することで、IL-23による有害な炎症反応を抑制する」
「ILC3のCTLA-4発現の破綻が、炎症性腸疾患の慢性化に寄与している可能性がある」