Core Concepts
金属キレート剤EDTA処理によってカンジダ・アルビカンスの毒性が減弱され、その弱毒株は強力な免疫応答を誘導し、全身性カンジダ症の発症を予防できる。
Abstract
本研究では、金属キレート剤EDTAを用いてカンジダ・アルビカンスの毒性を減弱させ、その弱毒株(CAET)の特性を解析した。
EDTAはカンジダの増殖と バイオフィルム形成を阻害した。RNA-seq解析の結果、CAET株では金属輸送関連遺伝子の発現が上昇し、一方で、リボソーム生合成や一炭素代謝関連遺伝子の発現が低下していた。これにより、CAET株は細胞壁が肥厚し、リボソーム数が減少していた。
CAET株は野生株(Ca)に比べて、マクロファージによる貪食・殺菌効率が高く、マウスの全身性カンジダ症モデルでは毒性が大幅に減弱していた。一方、CAET株で免疫したマウスは、致死量の野生株に対して強い防御免疫を示した。
CAET株は生菌ワクチン候補として有望であり、金属制限による弱毒化と宿主免疫の適切な誘導が、全身性カンジダ症に対する予防効果をもたらしたと考えられる。
Stats
EDTAは250 μMの濃度でカンジダの増殖を完全に阻害した。
CAET株の細胞壁は野生株の約4倍厚かった。
CAET株の腎臓内菌数は野生株の35-40分の1であった。
CAET免疫マウスの腎臓内菌数は野生株感染マウスの1/100以下であった。
Quotes
「EDTAは金属キレート作用によりカンジダの増殖と病原性を抑制する」
「CAET株は生菌ワクチン候補として有望である」
「CAET株は宿主免疫を適切に誘導し、全身性カンジダ症に対する防御効果を示す」