Core Concepts
地球システムモデルの降水量シミュレーションの精度を向上させるため、観測データとモデルデータを共通の埋め込み空間にマッピングし、条件付き拡散モデルを用いてバイアス補正とダウンスケーリングを同時に行う。
Abstract
本研究では、地球システムモデル(ESM)の降水量シミュレーションの精度向上を目的とした新しい機械学習フレームワークを提案している。
ESMデータと観測データ(ERA5)を共通の埋め込み空間にマッピングする変換関数f、gを導入する。これにより、両者の統計的バイアスを除去し、同一の分布に変換できる。
条件付き拡散モデルを用いて、埋め込み空間上でESMデータからERA5データへの逆変換を学習する。これにより、ESMデータのバイアス補正とダウンスケーリングを同時に行うことができる。
提案手法は、ESMの選択に依存せず、任意のESMに適用可能である。また、極端現象の再現性が高く、従来手法よりも優れた性能を示す。
大規模スケールの空間パターンは保持しつつ、小規模スケールの詳細を再現できる点が特徴的である。
Stats
ESMデータの平均絶対バイアスは0.69 mm/dであるのに対し、提案手法によるバイアス補正後は0.29 mm/dに改善された。
従来手法であるQuantile Mapping(QM)によるバイアス補正後のバイアスは0.26 mm/dであり、提案手法はQMと同等の性能を示した。
Quotes
"地球温暖化に伴い、より強い降雨イベントや関連する自然災害(洪水、地滑り等)が多くの地域で予想される。"
"ESMは計算負荷が非常に大きく、粗い空間解像度(典型的には100 km)しか実現できないため、小規模な降水生成プロセスを解像できず、大きなバイアスが生じる。"
"従来の量的写像(QM)は単一グリッドセルの統計を改善できるが、降水シミュレーションの空間構造や パターンを改善するのは困難である。"