Core Concepts
LRRK2およびその機能的相同体LRRK1は、加齢に伴う黒質緻密部ドパミン作動性ニューロンの生存に本質的な役割を果たす。
Abstract
本研究では、ドパミン作動性ニューロン特異的なLRRK条件付き二重ノックアウト(cDKO)マウスを作製し、LRRKがドパミン作動性ニューロンの生存に重要な役割を果たすことを明らかにした。
まず、floxedLRRK1およびfloxedLRRK2マウスを作製し、それらをDAT-Cre KIマウスと交配してドパミン作動性ニューロン特異的なLRRKcDKOマウスを作出した。cDKOマウスは正常な体重と生存率を示したが、加齢に伴う黒質緻密部ドパミン作動性ニューロンの選択的な減少を示した。この神経変性は、アポトーシスの増加と微小グリア細胞の活性化の亢進に伴っていた。一方、電子顕微鏡解析では、全身性LRRKDKOマウスにみられる黒質ニューロンの電子密度の高い空胞の蓄積は観察されなかった。
これらの結果は、LRRKがドパミン作動性ニューロンの生存に本質的な役割を果たすことを明確に示しており、LRRK2変異がこの重要な生理学的機能を損なうことで、パーキンソン病におけるドパミン作動性ニューロンの変性につながる可能性を示唆している。
Stats
15ヶ月齢のLRRKcDKOマウスの黒質緻密部ドパミン作動性ニューロン数は、対照マウスと同程度であった。
20ヶ月齢のLRRKcDKOマウスの黒質緻密部ドパミン作動性ニューロン数は、対照マウスに比べて有意に減少していた。
24ヶ月齢のLRRKcDKOマウスの黒質緻密部ドパミン作動性ニューロン数は、さらに減少していた。
24ヶ月齢のLRRKcDKOマウスの黒質緻密部のNeuN陽性ニューロン数は、対照マウスに比べて有意に減少していた。
24ヶ月齢のLRRKcDKOマウスの黒質緻密部のアポトーシス陽性ドパミン作動性ニューロン数は、対照マウスに比べて有意に増加していた。
24ヶ月齢のLRRKcDKOマウスの線条体のTH免疫反応性は、対照マウスに比べて有意に減少していた。
Quotes
"LRRK2変異がこの重要な生理学的機能を損なうことで、パーキンソン病におけるドパミン作動性ニューロンの変性につながる可能性を示唆している。"
"これらの結果は、LRRKがドパミン作動性ニューロンの生存に本質的な役割を果たすことを明確に示している。"