本研究では、量子多体物理シミュレーションの重要性を述べ、その課題として指数関数的に増大する Hilbert 空間の次元に起因する困難さを指摘した。テンソルネットワーク(TN)とニューラルネットワーク量子状態(NNQS)は、この問題に対する最先端の近似手法であるが、それぞれ表現力と物理的な先験的バイアスに限界がある。
そこで本研究では、オートリグレッシブニューラルネットワーク(ARNN)とTNを融合した新しい手法、オートリグレッシブニューラルテンソルネット(ANTN)を開発した。ANTNは以下の特徴を持つ:
具体的には、ANTNは最後の層でTNの条件付き波動関数テンソルを出力するように設計されている。これにより、TNの物理的な先験的バイアスとARNNの高い表現力を両立できる。
本研究では、量子状態学習と2D J1-J2ハイゼンベルグモデルの基底状態探索の問題に対してANTNを適用し、TNとARNNを上回る性能を示した。特に、大規模系においてANTNがMPSよりも優れた結果を得られることを示した。
以上より、本研究のANTNは量子多体物理シミュレーション、量子技術設計、人工知能における生成モデリングなどの分野で新たな可能性を開くものと期待される。
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