Core Concepts
ソフトウェアエンジニアリング研究と実践の間の溝を埋めるための取り組みと提言
Abstract
本論文は、ソフトウェアエンジニアリング研究者と実践者の対話を促進するための取り組みを紹介し、その成果と課題について述べている。
2011年から2016年にかけて、Jorge Aranda、Greg Wilson、その他の寄稿者らが「It Will Never Work in Theory」というウェブサイトを運営し、研究論文の要約と実践者向けのコメントを掲載していた。しかし、研究者と実践者の両コミュニティからの反応は限定的であった。
2021年以降、Wilsonが同プロジェクトを再開し、オンラインでのライトニングトークイベントを開催した。研究者に実践者向けの発表を行ってもらい、その様子を動画配信した。しかし、こちらも大きな反響は得られなかった。
著者らは、この取り組みが個人的には報わされるものであったものの、ソフトウェアエンジニアリングの「二つの孤立」を解消することはできなかったと振り返る。研究者と実践者の間の溝は依然として存在しており、お互いの関心事や言語が異なるためである。
最後に、著者らは学部教育の段階で研究と実践の架け橋を作ることを提案する。学生に自ら小規模な研究を行わせることで、研究手法や有用な発見に触れる機会を設けることが重要だと述べている。
Stats
2011年から2023年までの間に、合計278件の記事が投稿された。
2022年4月、2022年9月、2023年4月の3回、オンラインおよび対面でのライトニングトークイベントが開催された。
各イベントには、それぞれ22名、8名、22名の登壇者が参加した。
Quotes
"ソフトウェア開発者の大半は、[4]以降の研究成果を全く知らず、研究成果を「統計的に有意ではない」と軽視する傾向がある。"
"研究成果が開発者の会話に浸透する際は、先入観を裏付けるための材料として使われることが多く、知識や実践の向上を目的としていない。"
"ソフトウェアエンジニアリング研究の真の課題は、ChatGPTなどの最新トピックではなく、研究者と実践者の溝をいかに埋めるかにある。"