Core Concepts
無意味変異崩壊(NMD)の阻害により、がん細胞表面に新規抗原が提示されることが示された。
Abstract
本研究では、NMDを阻害する化合物のスクリーニングを行い、SMG1キナーゼの阻害剤KVS0001を同定した。KVS0001は、がん細胞内の遺伝子変異由来の異常転写産物の発現を増加させ、それに伴いMHC class I上に提示される新規抗原ペプチドの量も増加させた。さらに、KVS0001の投与により、マウス同種移植モデルにおいて腫瘍増殖の抑制が観察された。この効果は宿主の免疫系に依存しており、NMD阻害による新規抗原の提示が重要な役割を果たしていることが示唆された。本研究は、NMD阻害剤ががん免疫療法の新たな標的となる可能性を示唆している。
Stats
NMD阻害剤KVS0001の投与により、NCI-H358およびLS180がん細胞株において、遺伝子変異由来の異常転写産物の発現が2倍以上増加した。
KVS0001の投与により、NCI-H358およびLS180がん細胞株において、EXOC1、RAB14、ZDHHC16由来の新規抗原ペプチドの提示が45倍から2倍に増加した。
Quotes
"NMDは正常な遺伝子発現や mRNA品質管理に重要な役割を果たしているが、がん細胞においては、遺伝子変異由来の新規抗原の発現を抑制することで免疫回避に寄与している可能性がある。"
"KVS0001は、SMG1キナーゼを特異的に阻害し、NMDを抑制することで、がん細胞表面の新規抗原提示を増加させる。"