Core Concepts
PITARはTRIM28 mRNAと結合して安定化し、TRIM28タンパク質レベルを上昇させることで、p53のユビキチン化を促進し、p53タンパク質レベルを低下させる。これにより、DNA損傷応答を抑制する。
Abstract
本研究では、長鎖非コーディングRNA(lncRNA)PITARがp53の新しい不活性化メカニズムを明らかにしている。
PITARは、がん/精巣特異的に高発現しており、グリオブラストーマ(GBM)およびグリオーマ幹細胞(GSC)で高発現している。PITARはTRIM28 mRNAと直接結合し、TRIM28 mRNAの安定性を高めることで、TRIM28タンパク質レベルを上昇させる。TRIM28はp53特異的なE3ユビキチンリガーゼであり、p53のユビキチン化を促進してp53タンパク質レベルを低下させる。
PITARはDNA損傷によっても誘導されるが、この誘導はp53非依存的である。PITARの誘導によりTRIM28が上昇し、p53の応答が減弱される。このようにPITARはDNA損傷応答を抑制する不整合なフィードフォワードループを形成する。
PITARのノックダウンはワイルドタイプp53を持つGSCの増殖を抑制し、in vivoでもグリオーマ腫瘍の成長を減少させた。一方、PITARの過剰発現は腫瘍成長を促進し、テモゾロミド耐性を誘導した。これらの結果から、PITARはグリオーマにおける新しいがん治療標的となる可能性が示された。
Stats
PITARはグリオブラストーマ(GBM)およびグリオーマ幹細胞(GSC)で高発現している。
PITARはDNA損傷によって誘導される。
PITARのノックダウンはワイルドタイプp53を持つGSCの増殖を抑制し、in vivoでもグリオーマ腫瘍の成長を減少させる。
PITARの過剰発現は腫瘍成長を促進し、テモゾロミド耐性を誘導する。
Quotes
"PITARはTRIM28 mRNAと直接結合し、TRIM28 mRNAの安定性を高めることで、TRIM28タンパク質レベルを上昇させる。"
"PITARはDNA損傷によっても誘導されるが、この誘導はp53非依存的である。PITARの誘導によりTRIM28が上昇し、p53の応答が減弱される。"
"PITARのノックダウンはワイルドタイプp53を持つGSCの増殖を抑制し、in vivoでもグリオーマ腫瘍の成長を減少させた。一方、PITARの過剰発現は腫瘍成長を促進し、テモゾロミド耐性を誘導した。"