Core Concepts
階層グラフを用いることで、複雑なセキュリティゲームの戦略空間を効率的に表現し、ナッシュ均衡を計算できる。
Abstract
本論文は、階層グラフを用いたセキュリティゲーム(Layered Graph Security Games, LGSGs)を提案している。LGSGsは、攻撃者と防衛者がそれぞれ階層グラフ上のパスを選択し、その近接性に応じて報酬を得るゲームである。
LGSGsは以下の特徴を持つ:
多くのセキュリティゲームの問題設定をLGSGsとして表現できる
戦略空間が指数関数的に大きいにもかかわらず、階層グラフ構造により効率的に表現できる
線形効用関数の場合、ナッシュ均衡を多項式時間で計算できる
二値効用関数の場合、ナッシュ均衡の計算は一般に困難だが、増分戦略生成とMILPを用いた近似解法を提案している
提案手法の実験評価では、様々な応用例(追跡回避ゲーム、テロ対策ゲーム、物流妨害ゲーム)で良好な結果を得ている。特に、均衡戦略の支持点が小さいことが確認され、ゲームサイズよりも構造が計算コストを支配することが示された。
Stats
階層グラフ上の経路の総数は指数関数的に大きい
提案手法の近似ナッシュ均衡の支持点は、全経路数の2-5%程度と小さい
Quotes
"LGSGsは、多くのセキュリティゲームの問題設定を表現できる一方で、その構造を活かすことで効率的な解法が可能となる。"
"二値効用関数の場合、ナッシュ均衡の計算は一般に困難だが、増分戦略生成とMILPを用いた近似解法を提案している。"