Core Concepts
最大値-加算オートマトンの Big-O 問題は決定可能であり、PSPACE 完全である。
Abstract
本論文では、最大値-加算オートマトンの Big-O 問題の決定可能性と PSPACE 完全性を示す。
最大値-加算オートマトンは、整数値を割り当てる重み付き有限状態オートマトンの一種である。Big-O 問題は、2つの最大値-加算オートマトンが計算する関数 f と g について、定数 c が存在して f ≤cg + c が成り立つかどうかを問うものである。これは、f ≤g という含有問題の緩和版であり、最大値-加算オートマトンでは含有問題が決定不能である。
本論文の主な貢献は以下の通り:
Big-O 問題が決定可能であり、PSPACE 完全であることを示す。
簡略化された Big-O 問題を定義し、これも PSPACE 完全であることを示す。
有限半群を構築し、特殊な要素 (証人) を検出することで Big-O 問題を解く決定手順を提案する。この手順は PSPACE で実行可能である。
Simon の森分解定理と新たに導入した平坦化操作を用いて、証人の存在を特徴付ける。
本論文の構成は以下の通り:
第 2 節では最大値-加算オートマトンの定義と実行例を示す。
第 3 節では Big-O 問題と簡略化された問題を定義し、PSPACE 完全性を示す。
第 4 節では、証人を検出するための有限半群と操作を定義する。
第 5 節では、証人の特殊な形式 (tractable witness) を定義し、その存在を PSPACE で検出する手順を示す。
第 6 節から第 9 節では、Theorem 5.4 の証明を行う。
第 10 節では、より複雑な証人が必要となる最大値-加算オートマトンの系列を示す。
Stats
[A] = |w|
[B] = max(最長の a ブロックの長さ, b の個数)