Core Concepts
オブジェクトとイベントを統合したグラフ構造を活用することで、オブジェクト属性の損失なく、より詳細で情報量の多い表現を実現し、予測精度の向上を図る。
Abstract
本研究では、オブジェクト指向型イベントログ(OCEL)のイベントとオブジェクトを統合したグラフ構造であるHeterogeneous Object Event Graph encoding (HOEG)を提案している。HOEGは、イベントとオブジェクトの多様な関係を表現し、オブジェクト属性の損失なく統合することができる。
具体的には以下の通り:
イベントとオブジェクトをノードとし、それらの関係をエッジで表現したヘテロジニアスグラフを構築する。
オブジェクト属性はそのままノード属性として保持し、イベントとオブジェクトの関係も直接エッジで表現する。
ヘテロジニアスグラフニューラルネットワークを用いることで、イベントとオブジェクトの情報を統合的に学習できる。
提案手法HOEGを3つのOCELデータセットで評価した結果、以下のことが分かった:
オブジェクト属性や相互作用が豊富なデータセットでは、HOEGがより良い予測精度を示した。
一方で、データセットの構造が単純な場合や属性が乏しい場合は、従来手法のEFGと同等の性能となった。
HOEGはより複雑なグラフ構造を持つため、学習と推論の時間がEFGよりも長くなる傾向にある。
以上より、HOEGはオブジェクト指向型プロセスにおける予測タスクに有効な手法であると言える。特に、オブジェクト属性や相互作用が豊富な場合に威力を発揮する。
Stats
プロセス実行の残り時間を予測するために使用される主要な指標は以下の通りです。
平均絶対誤差(MAE): 予測値と実際の値の差の絶対値の平均
平均二乗誤差(MSE): 予測値と実際の値の差の二乗平均