Core Concepts
オンラインヘイトスピーチに対するカウンタースピーチへの参加は、過去の被害経験や、他者や自身を守りたいという動機によって大きく左右される。一方で、公開への恐怖や報復への懸念など、参加を阻害する要因も存在する。
Abstract
本研究は、オンラインカウンタースピーチへの参加動機と障壁を明らかにすることを目的としている。458人の米国在住の英語話者を対象にしたオンラインアンケート調査を実施した。
主な結果は以下の通り:
オンラインヘイトスピーチの被害経験がある人ほど、カウンタースピーチへの参加頻度が高い。特に、憎しみに立ち向かう動機や感情的な発散の動機が強い。
年齢、性別、教育レベルなどの属性によって、カウンタースピーチへの参加動機と障壁が異なる。若年層、女性、高学歴者は公開への恐怖や報復への懸念が強く、参加を躊躇しがちである。
参加動機と障壁は、自身のカウンタースピーチに対する満足度、難易度、効果性の認知にも影響する。公開への恐怖が強い人ほど、自身のカウンタースピーチをより効果的だと感じる一方で、感情的・スキル的な障壁が強い人ほど、自身のカウンタースピーチを効果的でないと感じる傾向にある。
AIツールの利用意向は、過去のAI活用経験によって異なる。AI経験者はインクルージョンを示すためにAIを活用する一方で、未経験者は報復への恐怖からAIを活用する傾向がある。
Stats
オンラインヘイトスピーチの被害経験がある人は、そうでない人に比べてカウンタースピーチへの参加頻度が高い。(b = 0.353, β = 0.170, p < .001)
他者を守りたいという動機が強いほど、カウンタースピーチへの参加頻度が高い。(b = 0.104, p = .033)
憎しみに立ち向かう動機が強いほど、カウンタースピーチへの参加頻度が高い。(b = 0.123, p = .007)
ソーシャルメディアへの参加に消極的な人ほど、カウンタースピーチへの参加頻度が低い。(b = -0.172, p < .001)