サーバーレスサービスの構築における教訓 - ZooKeeperを例として

Core Concepts

FaaSKeeperは、ZooKeeperの一貫性保証とインターフェースを維持しつつ、サーバーレスの価格モデルを採用することで、非定期的なワークロードに対して最大719倍のコスト削減を実現する。

Abstract

本論文では、サーバーレスサービスの設計と実装における課題と限界を探索し、その上で、ZooKeeperの一貫性モデルを実現するサーバーレスサービス「FaaSKeeper」を提案している。 FaaSKeeperの設計では以下の点に注目している: コンピューティングとデータストレージを分離し、クラウドストレージサービスを活用することで、スケーラビリティと信頼性を確保する。 同期プリミティブを実装し、ストレージ上で並行更新を安全に行う。 キューを使ってリクエストの順序を保ち、ウォッチ通知の配信を管理する。 クライアントライブラリで読み書きの順序を制御する。 定期的なハートビート検証を別の関数で実行する。 これにより、FaaSKeeperはZooKeeperと同等の一貫性保証とインターフェースを提供しつつ、サーバーレスの価格モデルを活用し、非定期的なワークロードに対して最大719倍のコスト削減を実現している。 また、FaaSKeeperの設計は、クラウドプロバイダ非依存であり、AWSとGCPの両方で実装されている。

Stats

ZooKeeperクラスタの最小構成は3台のVMで、手動のスケーリングが必要。 FaaSKeeperはサーバーレスのスケーリングと課金モデルを採用し、ストレージ料金のみで運用可能。 ZooKeeperの書き込み要求に対して、FaaSKeeperは最大719倍低コストである。

Quotes

"FaaS (Function-as-a-Service) revolutionized cloud computing by replacing persistent virtual machines with dynamically allocated resources." "FaaSKeeper maintains the same consistency guarantees and interface as ZooKeeper, with a serverless price model that lowers costs up to 110-719x on infrequent workloads."

Key Insights Distilled From

FaaSKeeper: Learning from Building Serverless Services with ZooKeeper as an Example

by Marcin Copik... at arxiv.org 05-02-2024

https://arxiv.org/pdf/2203.14859.pdf

Deeper Inquiries

サーバーレスアーキテクチャの限界はどこにあるのか?特に、高パフォーマンスや低レイテンシが要求されるアプリケーションにおいて、どのような課題が考えられるか?

サーバーレスアーキテクチャの限界は、主に以下の点にあります。高パフォーマンスや低レイテンシが要求されるアプリケーションにおいて、次のような課題が考えられます。 制御の欠如: サーバーレス環境では、リソースの制御がクラウドプロバイダに委ねられるため、アプリケーションのパフォーマンスやレイテンシに直接的な影響を与えることができません。特に、リアルタイム処理や高速なデータ処理を必要とするアプリケーションでは、この制御の欠如が課題となります。 コールドスタートの遅延: サーバーレス関数は必要に応じて起動されるため、初回の呼び出しではコールドスタートの遅延が発生します。この遅延は高パフォーマンスを要求するアプリケーションにとって致命的な影響を与える可能性があります。 ネットワークレイテンシ: サーバーレスアーキテクチャでは、クラウドサービス間の通信が頻繁に発生するため、ネットワークレイテンシが増加する可能性があります。これは高速なデータ処理を必要とするアプリケーションにとって重要な課題となります。 リソース制限: サーバーレスプラットフォームはリソースの制限があるため、大規模なデータ処理や複雑な計算を行うアプリケーションには制約が生じる可能性があります。特に高パフォーマンスを要求するアプリケーションでは、この制約が課題となります。

サーバーレスサービスの設計において、ベンダー依存性をどのように最小限に抑えることができるか?クラウドプロバイダ間の移行性を高めるためのベストプラクティスは何か?

ベンダー依存性を最小限に抑えるためには、以下のベストプラクティスを考慮することが重要です。 クラウドネイティブサービスの利用: ベンダーに依存せず、クラウドネイティブなサービスを選択することで、プロバイダ間の移行性を高めることができます。例えば、サーバーレス関数やクラウドストレージなど、クラウドネイティブなサービスを積極的に活用することが重要です。 オープンスタンダードの採用: ベンダー固有の仕様やプロトコルに依存せず、オープンスタンダードを採用することで、異なるクラウドプロバイダ間での移行性を確保することができます。例えば、APIやデータフォーマットなどを標準化することが有効です。 データポータビリティの確保: データのポータビリティを重視し、クラウドプロバイダに依存せずデータの移行を容易にする仕組みを導入することが重要です。データのエクスポートやインポート機能を活用し、データのロックインを防ぐことができます。 マルチクラウドストラテジーの採用: 複数のクラウドプロバイダを組み合わせるマルチクラウドストラテジーを採用することで、ベンダー依存性を軽減し、柔軟性を高めることができます。異なるプロバイダ間でのリソースのバランスを取ることで、移行性を向上させることができます。

FaaSKeeperのようなサーバーレスサービスを、他のどのようなタイプのアプリケーションに適用できるか?その際の設計上の留意点は何か?

FaaSKeeperのようなサーバーレスサービスは、以下のようなタイプのアプリケーションに適用することができます。 イベント駆動型アプリケーション: イベント駆動型のアプリケーションは、サーバーレスアーキテクチャに適しています。特定のトリガーに応じて処理を実行する必要がある場合、サーバーレス関数を活用することでコスト効率を向上させることができます。 バッチ処理アプリケーション: バッチ処理を行うアプリケーションもサーバーレスサービスに適しています。特に、処理のスケーラビリティやコスト効率を重視する場合、サーバーレス関数を使用することで柔軟な処理が可能となります。 Webアプリケーション: ウェブアプリケーションにおいても、サーバーレスサービスを活用することで、スケーラビリティやコスト効率を向上させることができます。特に、トラフィックの変動が激しい場合や、短期間の処理が必要な場合に有効です。 設計上の留意点としては、以下の点に注意する必要があります。 データの分離: システムデータとユーザーデータを分離し、適切なストレージサービスを選択することが重要です。データのアクセスパターンや処理要件に応じて、適切なストレージソリューションを選定することが必要です。 スケーラビリティ: サーバーレスサービスは自動的にスケーリングされるため、アプリケーションのスケーラビリティを考慮した設計が重要です。リソースの制限や処理速度に合わせて設計を行うことで、効率的な運用が可能となります。 セキュリティ: データのセキュリティやプライバシーを確保するために、適切なアクセス制御や暗号化を実装することが重要です。サーバーレス環境においても、セキュリティに対する配慮が必要です。