Core Concepts
ステートフルネットワーク機能インスタンス間でのフロー移行を正確に行うには、必要最小限の状態情報のみを先に移行し、残りの状態は後から移行することが重要である。
Abstract
本論文では、ステートフルネットワーク機能インスタンス間でのフロー移行の正確性について検討している。
まず、フロー移行の正確性を定義する際の従来の基準であるOrder(O)、Strict-Order(SO)、External-Order(E)について説明する。これらの基準を満たすためには、パケットのバッファリングや廃棄が必要となり、No-buffering(N)やLoss-freedom(L)の性質を満たすことができない。
そこで本論文では、Weak-Orderという新しい基準を提案する。Weak-Orderでは、パケットの転送に必要な最小限の状態情報のみを先に移行し、残りの状態は後から移行することを要求する。これにより、バッファリングやパケット廃棄を行うことなく、Weak-Orderを満たすことができる。
提案手法では、フローを2つのタイプに分類する。1つは即時の状態同期が必要なタイプ(Cohesive Subsequence of Packets: CSP)、もう1つは即時の同期は不要なタイプ(Non-Cohesive Subsequence of Packets: NSP)である。CSPに対してのみ即時の状態同期を行い、NSPに対しては後から状態を同期する。これにより、Weak-Orderを満たしつつ、バッファリングやパケット廃棄を行わずにフロー移行を実現できる。
提案手法を実装し評価した結果、旧経路と新経路の遅延や帯域が同等、または新経路の帯域が大きいか遅延が最大5倍程度の場合、移行前後のスループットに大きな差がないことを示した。これは従来考えられていたよりも、パケット順序の乱れが大きな問題とはならないことを示唆している。
Stats
ネットワーク機能インスタンス間でのフロー移行では、パケットの順序が乱れる可能性がある。
しかし、最新の輻輳制御アルゴリズムにより、パケット順序の乱れに対する影響は小さくなっている。
Quotes
パケットの順序が乱れても、最新の輻輳制御アルゴリズムにより、その影響は小さくなっている。