Core Concepts
視覚的ハイライトと認知負荷が複雑なユーザーインターフェイス(UI)における利用者の注意の配分に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。動的なハイライトは注意を引き付ける効果が高く、認知負荷の高い状況でも有効に機能する。一方、静的なハイライトは認知負荷の高い状況で効果が低下する。また、ハイライトされた領域は他の目立つ領域よりも長く注視される傾向にある。これらの知見に基づき、認知状態を考慮した新しい顕著性予測モデルの開発が必要であることが示唆された。
Abstract
本研究は、視覚的ハイライトと認知負荷が利用者の注意行動に及ぼす影響を実験的に検討したものである。27名の参加者に150種類のウェブページ画像を提示し、ハイライトの有無(なし、静的、動的)と認知負荷(なし、低、高)の条件下で注視行動を測定した。
結果、以下のことが明らかになった:
ハイライトの有無や認知負荷の有無によって、参加者がウェブページ全体を探索する様子が変化した。ハイライトがある場合や認知負荷が高い場合は、fixation数が減少し、fixation時間が長くなった。
動的ハイライトは、静的ハイライトと比べて、参加者の注意を効果的に引き付けた。特に、認知負荷が高い状況でも、動的ハイライトは注意を引き付ける効果が持続した。
ハイライトされた領域は、他の目立つ領域よりも長く注視される傾向にあった。つまり、参加者はハイライトされた情報に集中して注意を向けていた。
これらの知見を踏まえ、認知状態を考慮した新しい顕著性予測モデルの開発の必要性が示唆された。本研究で収集したHCEyeデータセットは、今後のこの分野の研究に役立つと考えられる。
Stats
ハイライトのない条件では、fixation数が最も多かった。
認知負荷が高い条件では、fixation数が有意に減少し、fixation時間が有意に増加した。
動的ハイライトの条件では、ハイライト領域への最初のfixationが最も早く、最後のfixationからの距離も最も遠かった。
Quotes
"視覚的ハイライトは複雑なユーザーインターフェイスにおいて利用者の注意を導くツールとして確立されている。"
"認知負荷が高い状況では、利用者の注意を向ける能力が低下するが、動的な変化(すなわちハイライト)は注意を引き付ける効果を持続させる。"
"ハイライトされた領域は、他の目立つ領域よりも長く注視される傾向にある。"