Core Concepts
ロータ故障に対応可能な能動型フォールトトレラントクアッドロータの設計と制御手法を提案する。故障検知アルゴリズムと故障耐性制御手法を組み合わせ、機械設計によるヨー角速度の制御を行うことで、ロータ故障時の安全性と操縦性を向上させる。
Abstract
本論文では、ロータ故障に対応可能な能動型フォールトトレラントクアッドロータの設計と制御手法を提案している。
まず、ヨー角情報を排除した3種類の姿勢誤差メトリクスを用いたフォールトトレラント制御手法を導入する。これにより、ヨー角制御を放棄しつつ、ロール角とピッチ角の制御を維持することができる。
次に、L1適応制御に基づくロータ故障検知アルゴリズムを実装する。これにより、ロータの損傷度を推定し、50%以上の損傷が検知された場合に標準制御からフォールトトレラント制御に自動的に切り替えることができる。
さらに、機械設計によるヨー角速度の制御を行う。ランディングギアに表面積を追加することで、ロータ故障時の自由なヨー角運動を抑制し、ジャイロスコープの限界内に収めることができる。ヨー角速度と推定ドラッグ係数の関係を分析し、プラットフォームに依存しない設計指針を提示する。
実験結果から、提案手法によりロータ故障時の安全性と操縦性が向上することを示す。高速かつ過激な軌道追従も可能であり、故障検知から制御切替までの反応時間も十分であることを確認した。また、ヨー角速度の制御可能範囲についても詳細な分析を行っている。
Stats
ロータ損傷度50%の場合、高度が0.05m低下した。
ロータ損傷度60%の場合、高度が0.08m低下した。
ロータ損傷度70%の場合、高度が0.13m低下した。
ロータ損傷度80%の場合、高度が0.6m低下した。
Quotes
故障検知から制御切替までの反応時間は100-150msであった。
ヨー角速度が10rad/s以下では、重心のアンバランスにより機体が不安定になる。
ヨー角速度を35rad/s以下に保つためには、ドラッグ係数を0.05以上にする必要がある。