Core Concepts
本研究は、生物の本能を活用しつつ人工的な制御を組み合わせることで、未知の環境における群集の自律的な航行を実現する。
Abstract
本研究は、生物と電子制御装置を組み合わせた「サイボーグ昆虫」を用いて、未知の砂地環境における群集の自律航行を実現する新しい手法を提案している。
まず、サイボーグ昆虫の特徴として、自然の移動能力と適応性、センシング能力を活かせることが挙げられる。一方で、個体間のばらつきによる制御の困難さが課題となっていた。
そこで本研究では、「ツアーグループ inspired (TGI)」と呼ばれる新しい群集制御アルゴリズムを提案した。このアルゴリズムは、昆虫の本能的な行動を活用しつつ、群集全体の目標地点への到達を実現する。具体的には、個体が密集している場合は自由な移動を許容し、疎な場合は群れに向かうよう誘導する、という2つのルールから成る。
実験では、20匹のサイボーグ昆虫を用いて、未知の砂地環境に障害物やヒルが存在する中で、群集の目標地点への到達を実現した。その際、本アルゴリズムにより、個体間の絡まりを抑制し、倒れた個体の回復を促進するなど、群集の安全性と頑健性が向上することが示された。
本研究は、生物の本能と人工制御の融合により、未知環境における群集の自律航行を実現した先駆的な取り組みである。今後、より小型・分散型のシステムの実現が期待される。
Stats
実験では、20匹のサイボーグ昆虫を用いた。
目標地点への到達実験を10回行い、その結果を示した。
サイボーグの自律性(電気刺激なしの時間の割合)は平均で約50%であった。
Quotes
「本研究は、生物の本能と人工制御の融合により、未知環境における群集の自律航行を実現した先駆的な取り組みである。」
「本アルゴリズムにより、個体間の絡まりを抑制し、倒れた個体の回復を促進するなど、群集の安全性と頑健性が向上することが示された。」