Core Concepts
本研究では、ヒトの根本座標系が非慣性であるという物理的事実に基づき、その非慣性効果をモデル化することで、スパースIMUからのリアルタイムヒューマンモーション推定を大幅に改善した。
Abstract
本研究は、従来のIMUベースのモーションキャプチャ手法の物理的な欠陥に着目し、それを解決するための新しいアプローチを提案している。
従来のIMUベースの手法では、ヒトの根本座標系を慣性系として扱っていたが、実際には根本関節が加速度や回転を経験するため、非慣性系となる。この非慣性効果を無視すると、IMUの加速度測定値と実際の局所運動との関係が正しく学習できず、特に手や足を上げるような加速度主体の動作の推定に失敗していた。
本研究では、この非慣性効果をフィクティブ力としてモデル化し、それを自己回帰型ニューラルネットワークで推定する手法を提案した。これにより、IMUの加速度情報を正しく活用できるようになり、従来手法を大幅に上回る推定精度を実現した。
さらに、より現実的なIMUデータを合成するための手法も提案した。従来は単純な方法でIMUデータを合成していたが、本研究では、ハードウェアレベルのノイズモデルや校正誤差を考慮することで、より現実的な合成データを生成できるようにした。これにより、合成データと実データの差を縮小し、モデルの一般化性能を向上させた。
Stats
ヒトの根本関節の加速度は 𝒂𝑅𝑅 である。
ヒトの根本関節の角速度は 𝝎𝑅𝑅 である。
任意の末端関節 𝐿 の位置は 𝒑𝑅𝐿、速度は ¤𝒑𝑅𝐿 である。
フィクティブ力は 𝒇fic = −𝑚(𝒂𝑅𝑅+ [𝝎𝑅𝑅]2×𝒑𝑅𝐿+ 2[𝝎𝑅𝑅]× ¤𝒑𝑅𝐿+ [ ¤𝝎𝑅𝑅]×𝒑𝑅𝐿) である。
Quotes
"既存の慣性モーションキャプチャ手法は、ヒトの根本座標系を慣性系として扱っているが、根本関節が加速度や回転を経験する場合、根本座標系は非慣性系となる。"
"本研究では、この非慣性効果をフィクティブ力としてモデル化し、それを自己回帰型ニューラルネットワークで推定することで、IMUの加速度情報を正しく活用できるようにした。"