Core Concepts
ラパロスコピー手術では、ポートを通して鉗子を操作する必要があり、モノラルカメラから得られる深度情報が不足するという課題がある。本研究では、単一の熟練者デモンストレーションから運動制約を抽出し、その制約に基づいてデータを収集し、模倣学習を行うことで、より正確な自律ロボット制御を実現する。
Abstract
本研究では、ラパロスコピー手術の基礎訓練課題であるペグ移動課題を対象に、ロボットによる自律的な実行を目指す。ラパロスコピー手術では、ポートを通して鉗子を操作する必要があり、モノラルカメラから得られる深度情報が不足するという課題がある。
まず、単一の熟練者デモンストレーションから、運動の各フェーズにおける制約条件を抽出する。次に、この制約条件に基づいてデータを収集し、模倣学習を行う。これにより、深度情報が不足する環境でも、より正確な自律ロボット制御が可能となる。
具体的な実験では、Franka Emika Panda Robot Armsを用いて、ペグ移動課題を実行する。制約条件に基づいてデータを収集した場合と、通常のデータ収集を行った場合を比較した結果、制約条件に基づく方が安定した動作が得られ、より高い成功率を示した。また、潜在空間の可視化からも、制約条件に基づくデータ収集の有効性が確認された。
本手法は、ラパロスコピー手術に限らず、深度情報が不足する環境でのロボット制御に広く適用できると考えられる。今後は、フェーズ遷移条件や制約条件の自動抽出など、さらなる自律性の向上が課題として挙げられる。
Stats
ペグ移動課題の成功率は、制約条件に基づくデータ収集の方が高かった。
制約条件に基づくデータ収集では、各ペグに対する鉗子の動作軌道が明確に分離されていた。一方、通常のデータ収集では、同じ軌道を辿る傾向にあった。
制約条件に基づくデータ収集の場合、左右の鉗子先端位置zref_forcepの平均分散は、左腕で5.65、右腕で2.74であった。通常のデータ収集の場合は、左腕で6.56、右腕で4.78であった。