Core Concepts
本論文では、三相電力変換器におけるコンプレックス値スライディングモードコントローラの2つの実装手法を提案する。提案手法は、デジタル実装における標本化時間を利用し、利用可能な切替え組み合わせの間で所望の不連続制御入力を平均化する。
Abstract
本論文では、三相電力変換器におけるコンプレックス値スライディングモードコントローラの2つの実装手法を提案している。
セクター基準実装(Sector-based Implementation: SbI)
複素平面を6つのセクターに分割し、所望の制御入力に最も近いアクティブベクトルを選択する。
ゼロベクトルは使用しない。
コンプレックス値スライディングアベレージング(Complex Sliding Averaging: CSA)
複素平面を6つのセクターに分割し、2つのアクティブベクトルの間で制御入力を平均化する。
平均化により、所望の制御入力と実際の制御入力の誤差が生じる。
ゼロベクトルコンプレックス値スライディングアベレージング(Zero-vector Complex Sliding Averaging: zCSA)
CSA手法にゼロベクトルを追加する。
ゼロベクトルの使用により、制御入力の実効ゲインが低減され、出力変数のリプルが低減される。
提案手法は、デジタル実装における標本化時間を利用し、利用可能な切替え組み合わせの間で所望の不連続制御入力を平均化する。これにより、スライディングモード特性である頑健性と高速応答を維持しつつ、三相システムの動特性の分離処理を必要としない。
数値シミュレーションと実験により、提案手法の性能を検証し、zCSA手法が最良の結果を示すことを確認した。
Stats
電源電圧Vdc = 300 V
インダクタンスL = 2 mH
キャパシタンスC = 20 μF
抵抗r = 2 mΩ
負荷抵抗RL = 5 Ω, 10 Ω
電流基準値Iref = 25 A, 15 A
周波数ω = 100π rad/s