本研究では、茶の根における単一細胞RNA配列解析(scRNA-seq)を行い、テアニン合成、輸送、調節に関わる細胞特異的な遺伝子発現パターンを明らかにした。
根の細胞クラスターを8つに分類し、それぞれの細胞タイプを同定した。窒素(N)の取り込み、同化、アミノ酸合成に関わる遺伝子の発現は細胞タイプ特異的であった。
テアニン合成の鍵酵素CsTSIは主に師部細胞で発現し、CsAlaDCは主に導管細胞で発現していた。このように、テアニン合成の前駆体合成と最終産物合成が異なる細胞で行われる「細胞間コンパートメンテーション」が示された。
また、テアニン合成を負に調節するCsLBD37転写因子は、テアニン合成細胞とは異なる細胞(師部細胞)で発現していた。このように、テアニン合成の転写調節には、転写因子と標的遺伝子が同一細胞内に高発現する必要はないことが明らかになった。
さらに、CsLBD37はテアニン合成と側根発生を共に調節することが示された。窒素豊富条件下では、CsLBD37の発現が誘導され、CsAlaDCの発現を抑制することで、テアニン合成を微調整し、同時に側根発生も抑制する。
以上の知見は、茶の根における二次代謝の調節機構の理解を深めるとともに、他の植物の根の二次代謝研究にも応用できる。
To Another Language
from source content
biorxiv.org
Key Insights Distilled From
by Lin,S., Zhan... at www.biorxiv.org 01-17-2024
https://www.biorxiv.org/content/10.1101/2024.01.16.575853v1Deeper Inquiries