Core Concepts
大学生が人工知能を使用する際、人工知能の流暢性が肯定的感情を引き起こし、その結果、人工知能の内容に対する認知的歪みが生じる。
Abstract
本研究は、大学生における人工知能の歪みの実態と要因を明らかにすることを目的としている。
研究1の質的研究では、大学生が人工知能を使用する際に経験する人工知能の歪みの様々な現れ方を明らかにした。具体的には、事実と虚構の混同、非現実的な情報の提示などが見られ、これらを「人工知能の歪み」と定義した。また、人工知能の流暢性が肯定的感情を喚起し、その結果、人工知能の内容に対する認知的歪みが生じる可能性が示唆された。
研究2の質問紙調査では、人工知能の流暢性が肯定的感情を介して人工知能の歪みに影響することを明らかにした。
研究3の実験研究では、人工知能の流暢性を操作し、肯定的感情が人工知能の歪みに及ぼす媒介効果を検証した。その結果、人工知能の流暢性が高いほど肯定的感情が高まり、その結果、人工知能の歪みが生じやすくなることが示された。
以上の研究から、大学生における人工知能の歪みの実態と要因が明らかになった。これらの知見は、大学生が人工知能を適切に活用するための示唆を提供するものと考えられる。
Stats
人工知能の流暢性が高いほど、ユーザーの肯定的感情が高まる。
ユーザーの肯定的感情が高いほど、人工知能の内容に対する認知的歪みが生じやすい。
Quotes
「人工知能の反応が素早く滑らかなため、その情報の正確性を十分に吟味せずに信じてしまうことがある」
「人工知能の能力に関する誇大な表現に惑わされ、非現実的な理解を持ってしまうことがある」
「人工知能の回答には、社会的・文化的な偏りが反映されているが、それに気づくことが難しい」