Core Concepts
112 Gb/s 上流 PAM4-PON において、新規の Fourier 畳み込みネットワーク (FConvNet) 等化器を実験的に実証した。BER ~5 × 10-3 において、FConvNet は 51 タップの Sato 等化器と比較して 2 dB、ベンチマークの機械学習アルゴリズムと比較して 1 dB の受信光パワー改善を示した。また、FConvNet は DNN と CNN と比較して複雑度を大幅に低減できた。
Abstract
本論文は、112 Gb/s 上流 PAM4-PON システムにおける新規の Fourier 畳み込みネットワーク (FConvNet) 等化器の実験的実証について報告している。
まず、上流 PON では、光線端末 (OLT) 受信機における半導体光増幅器 (SOA) の非線形性により信号歪みが生じる課題がある。これに対して、従来の線形等化器では不十分であり、より高度な信号処理が必要となる。
そこで本研究では、FConvNet と呼ばれる新しい機械学習ベースの等化器を提案している。FConvNet は、時系列データの周期性を捉えるTimesNetと、周波数領域の特徴抽出を行うConvNetを組み合わせた構造を持つ。時間・周波数の2次元表現を用いることで、時間的・周波数的な特徴を統合的に処理できる。
実験では、2.2 km の伝送後の112 Gb/s 上流 PAM4-PON信号に対して、FConvNetの性能を評価した。BER ~5 × 10-3 において、FConvNetは51タップのSato等化器と比較して2 dB、DNN、FC-SCINet、CNNと比較して1 dB の受信光パワー改善を示した。さらに、FConvNetはDNNとCNNと比較して、複雑度を大幅に低減できることが示された。
以上より、FConvNetは高速PONシステムにおける高度な等化を実現しつつ、低複雑度を維持できる有望な手法であることが実証された。
Stats
BER ~5 × 10-3 において、FConvNetは51タップのSato等化器と比較して2 dB、DNN、FC-SCINet、CNNと比較して1 dB の受信光パワー改善を示した。
Quotes
FConvNetは、DNN、CNNと比較して、79.0%の演算量削減と85.7%のBER-C指標の改善を実現した。
FConvNetは、Sato等化器と比較して13.9%のBER-C指標の改善を示した。